ブドウ畑の脅威を初心者にもわかりやすく解説【病気・生き物編】

ワイン用のブドウを作るまでに畑で起こり得る驚異を解説するシリーズ。

・自然由来
・外敵(虫や動物)由来
・病気由来

のパートに分けて、それぞれの驚異と対策法を簡単に解説してきます。このページは【外的由来編】です。

突き詰めると、キリがない分野なので、代表的なところに絞って紹介。読み終われば少しだけブドウを襲う外敵について詳しくなれますよ!

自然由来編はこちら

動物由来の驚異

想像してもなんとなくわかりやすい驚異だと思いますが、動物は驚異です!代表的な動物は鳥、イノシシ、兎、鹿がおります。

動物による被害は、なんてと言っても食害です。植物の本能と言うか生態系としては鳥に食べられるなんて一番理想的なんですけど、ワイン用のブドウは食べられちゃ困りますよね。

鳥の被害と対策

鳥は食べられちゃう事ももちろん問題ですが、中途半端についばんで行く事も問題です!中途半端だと「ぐじゅぐじゅ」で「べたべた」な状態になってしまいますからね。これが原因で病気の発生する可能性も大幅に上昇してしまいます。

対策としてはネットをかける方法。かかし。とかレトロな方法と、でっかい音で脅かす!とかもあるので、ブドウ産地でバズーカみたいな音が定期的に鳴り響いていたりもします。戦争でも始まるのかと思いますよ。

昔から現在まで対して対策法も被害も進歩がない世界かもしれません。

四足の動物

イノシシ、兎、鹿あたりは兎ちゃんは可愛いもんですけどね。そこそこ数がいて夜に行動するので厄介ではあります。

一番よく聞くのはイノシシですかね。フランスではアルザスから南仏まで全地域で被害を聞く気がします。ぶどう畑の隣が森の場合は結構気をつけないと行けない問題です!

四足の動物の場合、雨が降らない年こそ被害が拡大する側面があります!雨が降らないと水がなくなるので、水分補給としてもブドウはとっても優秀な水分量を蓄えています!のどが渇いた動物たちに見つかったぶどう畑は壊滅的な被害を受けたりもします。

南仏の生産者でイノシシに半分食べられて畑があるから、今年の生産量半減ね!って言われた事がありますかね。困った被害です。

対策としては大型動物の場合は柵である程度防げます。電気が流れるタイプなんかもありますね。とは言え畑はでかいですからね。柵だけで設置すとなれば結構なお金がかかります。

レアケースな被害

これはまだ実際に大きな被害は聞きませんが、日本でビビられている害獣が「猿」です。集団ですし、なんせ頭がいいですからね。

柵で防ぐことは出来ないし、トラップもかいくぐる知恵を付けちゃったりするらしいです。他の食べ物と比べても「旨い」ので、ブドウの美味しさに気が付かれた最後!と言う話をしているのを聞いたことがあります。猿は年々生息域が日本中で実は増えてるので、いつしか大きな被害が出ると恐れられています。

あと、ナパ・ヴァレー辺りはリスが多いらしく、こちらも困った葡萄捕食者です。小さくて素早い動物は、柵では防げません。

虫由来の被害

虫由来の被害は「大きめの虫」と「小さめの虫」で少しだけ分けて解説します。

ちなみま、グロテスクな虫が多いので、一番かわいいやつを写真に採用しました(笑)

対策に関しては大きかろうと、小さかろうとまず「農薬」と言う存在が当然あります。殺虫しちゃえばいい訳ですよね。

ですが、近年はビオ農法を確実に増えていますし、ビオでなくても減農薬の考えが浸透してきています。なので農薬以外の解決法を解説にはいれます!

農薬には有益な虫も殺してしまう欠点がありますからね。いいブドウを作る為にはいろんな虫がいる環境を作った方が遥かに豊かな土になるので、いいブドウが出来ることは間違いありません。生物の多様性は非常にブドウにとっても重要です。

大きめの虫

ブンブン飛んでたり見えやすい奴らの事と思ってください。代表的な虫に「蛾」「てんとう虫」「スズキ」辺りが代表的です。他にもたくさんいますが、有名どこを紹介していき明日。

蛾は結構種類がいて、被害も違ったりします。基本的には幼虫期に被害を及ぼすやつが多いので、この幼虫を以下に駆除するか!が問題になります。

ビオ農法の場合は、究極の作戦「手作業」が本気で存在します。1haで1万本とか樹が植えられてたりするのに、そして樹1本づつに何匹もついてる幼虫を手作業とか途方もないですよね。

そこで近年ヨーロッパで真面目に研究されているのが、コウモリを増やす!と言う作戦です。コウモリは夜お食事をするわけですが、幼虫とか好んで捕食してくれるらしいです。

他の害虫もそうですが、捕食者を育成するのはビオ農法では有益な方法です!

てんとう虫

少ない数なら対して問題にはならないですが、大量発生すると大問題になるのがこの「てんとう虫」です。

てんとう虫くんはブドウの房と房の隙間に住み着いたりします。ブドウは収穫する時、手積みだと房ごと取りますし、醸造法次第では房ごとでないと駄目な方法もあります(マセラシオンカルボニックは全房前提)

そうすると房と房の間にいるてんとう虫が除去しきれませんので、そのまま醸造することになります。てんとう虫ごと発酵させたブドウには・・・想像しちゃいました?てんとう虫エキス入ってますよ!

2004年のブルゴーニュはこの被害が酷くて「てんとう虫臭」がついたワインがあると言われるヴィンテージです。

・・・・想像しちゃいました?

てんとう虫は大量発生が雨が多い年とか条件もあるので、該当しそうな兆候があれば頑張って注意するしかありません!

あとは、全房発酵を必要を必ずしも必要としない場合には全房発酵を諦める。とかの回避法もありますね。

スズキ

全国のスズキさんごめんなさい。スズキさんはワイン生産地に行ったら「てめーこのやろー!」と言われちゃうと思います。(もちろん半分洒落ですが)

スズキは学名で日本では「オウトウショウジョウバエ」と言われハエの仲間です。日本から何かにくっつてヨーロッパに入ってしまい、ヨーロッパで猛威を振るう日本出身の害虫です。

ブドウの身に卵を産み付け、ブドウが腐ったりする害はもちろん、収穫期だと身のなかん幼虫に気づききれず、そのまま醸造しちゃうと、なんと酢酸が多くなりすぎてるので酸っぱいワインが出来ちゃう!なんて甚大な被害を及ぼす事があります。

アルザスで生産量がスズキのせいで今年は半減だ!なんて話もあるぐらい深刻な奴です。

現在これに対応する有効な手段は研究中の段階です。農薬以外の手段をは見つけていきたいところですが、日本人としては申し訳ない気持ちでいっぱいです。

小さい虫

小さいやつは基本地中で悪さするやつ2種類が有名どこなのでそこを紹介します。ぶどう畑の驚異として最も有名なやつ「フィロキセラ」そして割とポピュラーな「ネマトード」(線虫)ですね。

フィロキセラ

かつてヨーロッパのブドウ農家を、ワイン生産者を絶望の縁にまで追い詰めた世界最悪の害虫です!北アメリカ出身のこいつは、ブドウの根っこや葉っぱを襲います。

ブドウの根っこ等に取り付いて、そこから樹液をちゅーちゅー吸い取るわけですが、その時に出る分泌液のせいで、その部分が瘤状になる被害が出ます。

そうするとその部分に樹液が通らなくなるので、ブドウの樹に栄養が回らなくなり、最悪と言うか最後には、ブドウの樹が枯れます。

この被害でヨーロッパのぶどう畑は戦後間もない頃ぐらいに、死滅寸前まで追い込まれました。

対処法も有名ですね!フィロキセラ出身地のアメリカ系のブドウには樹液ちゅーちゅーされても瘤にならない性質があるのです。おそらく長い歴史の中でフィロキセラに対抗する為に進化したのでしょう。

そのアメリカ系ブドウを根っこにして、その上に接ぎ木すれば枯れない!と言ういわゆる台木が対抗手段として確立しています!

現在ではフィロキセラ対策だけでなく、台木ごとに違う性質を利用して、生産地や生産目的(大量栽培なのかこだわった栽培なのか)に最もあった台木を選ぶと、ブドウ生産その物にも有利!と言う所まで研究が進んできているので、怪我の功名ではあります。

もう1つ、砂地にもあまりフィロキセラは生息できないので、砂地だと自根でいけるケースがあります。南仏なんかでまれにありますね。

水捌けの問題だと言われていますが、いまいちはっきりしない理由ではあります。チリなんかでは乾燥しすぎて、フィロキセラがほぼ活動しないそうです。

チリに関してはフィロキセラがいない!って記述も見ることがありますが、実際にはいるけど活動しないのが正解らしいですよ。

ネマトード

線虫と言われる、根っこに取り付く虫ですね。やっぱり樹液をちゅーちゅーしてきて、弱ったブドウの樹が大幅に収穫量を落としたり、最悪の場合ブドウが枯れてしまう奴です。

根っこを弱らせるのと、ウィルスを感染させてくるやつもいます!

見つけるのも大変で土のサンプルを取ってみて、どれぐらいいるのかとかで判定するようです。

対処法はこちらも台木が主流ですが、その他ネマトードが嫌いやすい植物をカバークロップとして植える事で畑にネマトードが繁殖しないようにする方法などがあります。

そもそも最初から持ち込まないことも大事なので新しい苗木ちゃんとネマトードフリーであるかどうかも大事です。信頼できる苗木業者から購入することが大事です!(ちゃんと検査してる業者)

まとめ

ブドウは自然の中で育てる作物なので、本当に普通の作物を作ってるのと変わらないんですおね。

ワインの事ばかり見てると、この畑仕事の事までは考える必要はないかもしれませんが、ソムリエを目指す方なんかは、そこにある農家の苦労なども知っている事でお客様にワインを伝えるうえで一つ情報が増えるわけでからね!

いつ役に立つかわからないですが、きっと有益になる時が来るので覚えておいて損はない内容です!