ジェームス・サックリング 2020年ベストワインから見る世界ワインの流れ

ロバート・パーカーと言う圧倒的な1強だった評論家が引退した後、ワイン界のNo.1評論家と言える人物は今のところ登場していない!

ワンピース好きにしかわからない例えで言うと、ロバート・パーカーが「ゴールド・D・ロジャー」、要するに海賊王だ!海賊王亡き後の世をすべているのが「四皇」と言われる存在なのが、ワンピースの世界。

現在ワイン界で四皇の名をあげるなら「ニール・マーティン」「ジャンシス・ロビンソン」「アントニオ・ガローニ」「ジェームス・サックリング」辺りが四皇だろうか?

四皇を目指す存在も「リサ・ペロッティ・ブラウン」「ティム・アトキン」辺りが入っているような、まだ入ってないような、この辺は評価も分かれる所だろう。

まぁ、そんな四皇の1人であるジェームス・サックリングが毎年恒例になりつつある2020年のTOP100ワインを発表した!

公式サイトの有料会員ではないのでTOP100全部は見れていないが、LIV-EXにTOP10の掲載と、TOP100の内訳があったのでご紹介しよう。

2020年のNo.1はアルゼンチンワイン

今回のNo.1はニューワールドでもマイナーな方ではなかろうか?まさかの「アルゼンチン」のワインが栄冠をつかんだのだ!

No.1に輝いたワインの名は「ボデガ・チャクラ チャクラ32 トレインタ・イ・ドス 2018」と言うワイン。

アルゼンチンのピノ・ノワールで、生産者はイタリアの有名ワイン「サッシカイア」のオーナー一族だ!

アルゼンチンワインが選ばれたと言う事で、みなさん濃いめのワインなんかを想像しそうなもんですが、アルゼンチンの暑いとこと言えばメンドーサ辺り。この辺はマルベック主体で、ピノを造ったとしても、濃い物しか出来ないでしょう。

今回のボデガ・チャクラがあるのはメンドーサよりもはるか南に位置する「パタゴニア地方」にあるのがポイント!

アルゼンチンは基本的に涼しさを「高度」で稼ぐ生産地が今まで発達してきていたが、今回は「緯度」で明らかに涼しい場所まで南下したのがポイント。パタゴニアは標高は200m程度しかないらしいので、高度による冷却効果はほとんどないだろう。

世界はいま確実に冷涼産地を求めている。その中で今までの「暑い」イメージだったニューワールドのワインは、その国内での産地も、主役の座が冷涼地に移ってきている証拠と言える出来事が、いよいよもって実力と共に証明されて来たと言うわけだ。

フランスワインはTOP10圏内にない・・・そして

そして、今回の発表でまず全員が驚いたのは、ついにTOP10圏内にフランスワインがなくなった事。

料理におけるフランス」は完全に立ち遅れて、自分たちの栄光にしがみついた結果、No.1の座から引き吊り降ろされた感じで、いまだにフランス料理界の巨匠たちのお名前は大して変わらん。

その証拠に「ジョエル・ロブション」以降のシェフの名で、世界中の誰しもが知るような名前は出てきていないのではないか?ロブションも昨年亡くなられたぐらいで、結構なご年配。その後が全く出てきていないと言える状態なわけです。

まぁ、料理界の事情とは違って、フランスワインは品質に関しては特に足踏みしていると言うわけではない。

特にボルドーの生産者は潤沢な資金があるので、設備投資に関しては圧倒的に世界最高の物を使っていたりする。最近の選果マシーンとかマジで半端ない性能で、1粒1粒をAIの目が見守って、いらない果実を1粒単位でエアーガンで蹴散らしてくれるレベルだもん。

それにボルドーブルゴーニュ、シャンパーニュがそのジャンルにおいて間違いなく「世界で最も高価で気高い」と言う地位は変わっていない。

でもTOP10には1つも入らなかった。

これは単純にその他の世界がフランスを圧倒的に凌駕するほどのスピードで進化していることに他ならない!

そしてフランスワインはこれからAOPのジレンマに悩まされる。と言う暗示だと思う。

フランスは法律でブドウ品種が決まっちゃってるので、温暖化で明らかに栽培好適地ではなくなってきているブドウでも植え替える事が事実上出来ないのだが、ニューワールドはその辺のルールが特に決まっていないので、

「最近あちぃあな。ピノ抜いてシラー植えようぜ!」

とか

「ピノ作るのにここじゃ暑いから、もっと涼しいとこに移動しようぜ!」

とかが簡単に出来るのである。

その証拠が今回の1位「ボデガ・チャクラ」がパタゴニア地方にあると言う事実だろう。

で、残りのTOP10は?

ここでTOP10の表を見て見よう。英語版が見たい人はLIV-EXでも見てくださいませ。

RANK生産者ワイン名ヴィンテージ
1アルゼンチンボデガ・チャクラトレインタ・イ・ドス2018
2ドイツシュロス・ヨハニスベルクリースリング シュペトレーゼ2019
3イタリアペルティマリ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2016
4オーストラリアシューベルト・テオラムザ・スタンディッシュ・ワイン・カンパニー2018
5オーストリアヴァイングート・クノールリード・シュット リースリング2019
6ドイツヴィットマンモアシュタイン・リースリング GG2019
7ドイツデンホフデルヒェン・リースリング GG2019
8イタリアタッシブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2015
9アルゼンチンシュヴァル・デ・アンデスシュヴァル・デ・アンデス2017
10チリカーサ・ラポストールクロ・アパルタ2017

赤ワインは、なんだかんだ言ってもパンチあるのが評論家受けいいんだな。中途半端に濃いのじゃなくてがっつり濃そうな物がいくつかランクインしている。

そしてドイツが3つも入ってる事と、オーストリアも含めてリースリングが4つも選ばれている辺りが非常に現代的なランキングになってる。

リースリングなんて日本じゃまだまだシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランよりも格下だと思われてるけど、実際にはもはや世界最高の白品種と言っても過言ではない評価になっている事に・・・気づけ日本人!!

実際に料理と合わせる幅も大きいし、なんせワイン苦手な人でも飲みやい品種だと思うから、そこそこには認知されてるけど、もっともっと広めよう!ね、みんな!!

世界はいまリースリングに虜なんだよ!!

TOP100の内訳とまとめ

ちなみにTOP100に関して、LIV-EXを見るとその内訳も書いてある。

イタリア 20個
オーストラリア 19個
ドイツ 17個
フランス 12個
アメリカ 11個
アルゼンチン 9個
チリ 7個
オーストリア 3個
スペイン 2個
ポルトガル 1個

世界のTOP評論家のランキングと言うのは本当に興味深い。

TOP達が結構ニューワルドを見まくっているのに、日本のソムリエは相変わらず世界を見ようとしていない人が多い。

本業がフランスワインの営業マンの僕が言うのもなんだが、もっと世界のワインを見た方がいい!ボルドーもブルゴーニュも、シャンパーニュも・・・もはや高すぎる!

世界のワインなら1万円前後で、世界最高峰の物が飲めるんだぜ!!村名ブルゴーニュ買ってる場合じゃないんだよ。マジで!!

見てみそ?TOP100でフランスワイン1個だけだよ?みんな残りの88個を見逃してんだぜ?!

って言うのが個人的な見解ではある。

いずれにせよ、世界をほぼ見てない日本のワイン界の未来はこのままでは明るくない。世界のとっても良いワインのアローケーションもらえなくなっちゃうよ??

と言う心配が尽きない。