ワインを勉強すると出てくる謎の単語「ミクロクリマ」。
なんでも、部分的にに違う気候だとか。ワインの学び始めって特にそうですが、ロマネ・コンティって畑があって、そこから2kmぐらい離れたワインの味が違うなんて、そんな馬鹿な!
なんて思うこともあるはずです。あれはブランド力で高いだけだ!なんて思うものですが、ちゃんと違いがある理由の1つがこのミクロクリマです。
土壌の違いもあるのですが、ここでは気候だけにスポットを当てて、さらってわかるような写真付きで解説しますよ!
ミクロクリマの意味
ミクロクリマってそもそも最初は言葉の意味すらわかりません。フランス語ですからね。
直訳しちゃえば「ちっちゃい気候」です。ちっちゃい気候ってなんだよ?って話ですよね。
「ちっちゃい」があるので反対の「おっきい」も当然あります。それを、マクロクリマと言うかどうかはいまいち知りませんが、ようは全体的な気候の傾向があります。
全体の傾向というのは例えばボルドーなら
「海洋性気候で温和。1年を通して雨がそれなりに降るし湿度もそこそこある」
ブルゴーニュなら
「大陸性気候で昼夜の寒暖差がある温和からやや冷涼な気候。雨は降るけど多くはない」
みたいな、要するにその地域全体の気候ってのがあります。
日本は島国なので全体的に海洋性気候なのでいまいちこの気候区分の違いってのが想像出来ないフシがあると思います。
分かりづらいですが、日本でも盆地は夏暑くて冬寒いとかは聞いた事ありませんか?盆地は山があるので海からの影響が幾分緩和されるんですよ。
気候って「でかい水の塊」があると温度変化の幅が緩和されるんですよ。空気よりも水のほうが温度変化が緩やかですからね。海はまさに「でかい水の塊」です。
なので日本で言うなら海の近くは雨の量が多いけど、温度の幅は狭い。盆地は雨は減るけど温度変化はでかい!みたいな事になります。これがとりあえずマクロクリマだと、なんとなく認識してください。
さて、それに対して、ミクロクリマです。
文字通り「ちっちゃい」ので、マクロクリマの中にある「ちっちゃい気候」です。
わかりやすい例1
言葉で書かれても分かりづらいと思いますので写真を用意しました。飛行機に乗った時に「おー!まさにミクロクリマ!!」って思えるものがちょうど見えたので撮影してみたんです
なんの変哲もない山並みが続く写真ですかね?
よくよく見て欲しいのはちょと奥の山に所々、雲がかかってるのが見えませんか?そして右下の方にも雲が山に引っかかってる場所が見えますよね?
これこそがミクロクリマ正体の1つです。
ん?って感じとも思うのでこの原理を説明すると、非常に簡単です。ようは低い位置にあった雲が風に流されれていたら、山にぶつかったんですね。
ぶつかった雲は風にのって山を避けてい行くのですが、その地形によっては避けきれずに、写真の用に山に捕まって留まっちゃう事があります。
写真撮った日は上も曇りですけど、上は晴れてて山のほんとにこんな一部だけ雲がひかかって残ってることもあるわけです。
そうすると、周りには日光があたっているのに、その一部だけは日陰になってしまいますね?
要はそこだけ日当たりが悪いです。
写真で見てもわかると思ういますが、超ちっちゃいですよね。この超ちっちゃい部分だけ天気が違うから、出来上がるブドウにもわずか100mしか場所が違わないのに、品質の差がでるわけです。
わかりやすい例2
次の例はブドウ畑で見てみましょう。動画で見るナパ・ヴァレーです。
ナパ・ヴァレーは毎朝こんな風に霧が出る場所なのですが、そう!動画を見ると分かる通りです。
最初の事例と一緒で霧がかかってる場所と霧がなかった場所があるのが見て取れると思います。
ナパの場合はこれでブドウの仕上がりが全然違います!日当たりが良いほうがよりボリューム感あるワインが作れます。
その辺は光合成の話なので気になる方はこちらの記事を読んでみてください。
わかりやすい例3
次は太陽の問題じゃなくて天災問題です。
ミクロな範囲で起きやすい天災の代表例はこれです。
手に平にのる氷「雹」ですね。雹って日本で降るときはだいたい積乱雲と一緒で局地的に降る事は、なんとなくご存知ですよね?
ワインの産地でも同じで、結構小さい範囲で降るので、そこだけピンポイントで災害が起こるわけです。
例えばブルゴーニュで雹が発生した例だと2019年はニュイ・サン・ジョルジュの南部、プリミープリセ村周辺だけ強烈な雹が降りました。ニュイ・サン・ジョルジュの北部には降ってません。
ですから2019年のブルゴーニュは良いヴィンテージと言われていますが、ニュイ・サン・ジョルジュ南部はめちゃくちゃ収穫量が少なくなっています。(品質は悪くなるとは限りません)
まとめ
例1なんかはぶどう畑じゃないですけど、思った以上にピンポイントで天候が違うのがわかり易い例として使用しましたが、どうでしょう?
なんとなく「ミクロ」な天気の事がわかったんじゃないですか?
ワインの世界で言う時は例2とか例3ぐらいの規模が殆どですね。あとは斜面の方角とか、風の通り道で、そこだけやたら風が当たる。とかもあります。
ワインの購入に際して消費者がここまで見ることはまずないでしょうし、ソムリエでも現場でここまで考えている場合は非常にレアケースですが、ワインを理解する上では重要な要素です!
ぜひ頭の片隅に入れておいてください!