世界で滅茶苦茶売れてるけど、日本では一向に売れないワインってあるんですよ。
代表例は「ロゼワイン」と「プロセッコ」だと思います。
この2つは例えばフランスでは「ロゼワイン」が消費量において「白ワイン」を上回るまでになっていますし、「プロセッコ」はシャンパーニュの出荷量をついに上回るぐらい。
両方とも売れに売れている!
ってのが現状です。
ロゼなんて10年は前から売れてるんですけど、日本では10年前に比べりゃ売れてるけど、世界的に見たら「まーったく売れてない」に等しいぐらいの伸び率です。
なんでこんな事になっているのか、超真面目に考えてみました。
まだ30代の僕としてはワインで食ってく為にも未来の事まで考えないといかんのですよ。
売れない下地を考える
まずは売れない下地を考えてみました。
ワインって世界的な流行みたいなのがあって、その流行に沿って生産者は自分のワインの作り方を変えたりしてるんですよ。
一昔前は、濃い赤ワインが全盛期の時代があって、赤ワインはなるべく濃厚な味わいを目指していましたが、今は真逆に触れてエレガントなワインが全盛期なんです。
この話は本当の話なんですが、その前提条件としてなんですが・・・
・ワインって味わいに違いあんの?
・「赤ワイン」と「白ワイン」じゃないの?
ぐらいの人が世間一般では圧倒的な部分を占めている気がしています。
テレビでも高いワインがあって、それはものすごく美味しい飲み物だ!見たいな事は見聞きするにも関わらず、ワインが好きだって言う事を知られると聞かれるのは
「赤ワインと白ワインどっちが好きですか?」
って言う質問が圧倒的です。要するにその人にとってはワインは「赤」と「白」の2種類しかないんですよね。
ワインの獲ている市民権ってのはこんな物です。
僕に質問してくる層は大体同年齢なので、30後半ぐらいでこの認識。若い人ではもっと認識が低いと想像されます。
逆に上の年齢はワインブームなんかがあった世代なので、もう少しわかっているのかもしれません。
と言うのもワインを売る仕事をしていると感じるのは、
「ワインを飲んでる人って、ほぼ50代以上じゃない?」
って思う事がしばしばあります。
ワインブームの頃に飲む用になったワインがそのまま好みの味に転じているせいで、日本ではいまだに「濃い味」ワインしか売れないと言う状況も実際問題有ります。
スーパーのワイン売り場の棚なんか見えれば一目瞭然です
「濃厚」「濃い味」「樽の効いた赤」
なんて言うポップばかりが目立ちます。完全に狙っているのがその辺りの層なんですよね。
普段営業する先のレストランでも「濃い奴ないですか?」って良く聞かれますし、レストラン側も「これより濃いのないですか?」って質問がめちゃくちゃ多いと言う話もしょっちゅう聞きます。
戦略的には「ワイン買ってくれる層」に向かってワインをアピールしたいので、濃いワイン戦略は間違いではないでしょうが、日本人の悪い所で未来に投資しません。
ビール業界で散々「苦い味」は若者に受けない!って話してんのに濃い味・・・要するにタンニン強めをオススメしまくってるわけですよ。
若者が買うわけないじゃないですか。
逆にこの「層」に受けない味わいが「甘い」味わいです。
ビールでもワインでも「辛口」の一言しか知らないんじゃないか?って言うマーケットが実際に存在するわけですが、これが失敗してるのが今のビール業界だと思います。
苦くて辛口のビール何て若者は飲まんのですよ。
クラフトビールのホップが苦いんじゃなくて爽やかなタイプとか、最初からホップ大して聞かせてなくてちょっと甘い口当たりのエール系とかを「ビール味わいは1つじゃない」事をアピールして売り出せばいいのに。なんて外野から見てると思います。
まぁ、サワーなんかに代表されるRTD(Ready To Drink)が売れるので原価の高い醸造酒を広げる必要性もないんでしょうけどね。
プロセッコ

ホント売れてないんですよね。日本で。
僕も辛口至上主義な時があって、その頃は「プロセッコ」って甘くて食中酒としてどうな?って思ってた時期があるのは認めます。
でも今さらですけど、ちょっと甘いのって旨いですよね。そしてちょっと甘いからこそ若い人には受ける味わいなんですよ。
実際にめっちゃ売れてるアメリカでは若い世代が飲むスパークリングワインとしてめちゃくちゃに売れてるそうです。
少し前まで出荷量でシャンパーニュを上回るなんて考えもしなかったプロセッコが、今や世界一飲まれてるスパークリングワインです。
若い人たちに進めたい思いも強いので、手に入りやすい場所で手に入れよう探すんですけど・・・なんと結構な可能性で「プロセッコ」自体が売ってないんですよ。
世界一売れていて、ワインの市場としても決して小さくない日本のスーパーなんかに、めったに置いてないんです!結構衝撃的でした。
ワインが売れてる層がある程度の年齢層に達した人なので、その層に受けないからなんでしょうけど、世界的なブームに乗っからずにもったいない。
若い人たちは数も少ないし、お金も少ないからマーケットっとして魅力がない。
そう思われてんでしょうね。でもそこを開拓していかないと、あと10年もすればワイン飲む層の年齢層が上がりすぎて、日本のワイン産業自体が衰退してしまいます。
こう言う取っつきやすいワインがもっと気軽に手に入って、しかも若い人たち向けにPR出来ている状況を作り出す必要性はあると思います。
プロセッコは安いし、飲みやすいし、スパークリングワインでインスタ映えもするし、アメリカでも受けてるし、若い人にむけて売るにはいいとこしかないと思うんだけど・・・
僕の会社はフランス専門なので手を出せないのが残念なぐらいです。
ロゼワイン

これまた売れてないんですよね。
もう世界的にはかなり当たり前のワインで、ロゼがない店なんてまずないでしょうが、日本のレストランではロゼがグラスでは置いてないなんて普通です。
皆一様に「ロゼ売れないんだもん」
と言ってグラスで置くのを躊躇いがちです。
ロゼ = 甘い
って思いこんでる節が日本にはまだまだ蔓延してて、それで敬遠されがちな存在です。
実際には辛口のロゼが主流で、甘さはあまりない物が多いですが、かといって苦いわけでも酸っぱいわけでもないので、飲みやすい物が多いんですけどね。
しかもいい所は「安くても失敗しない」ところです。
赤ワインなんて「安い = まずい」が結構顕著なのに、ロゼは「まずい」って事はほとんど出会った事がないですもんね。「味薄すぎない?」はありますけど、飲めますもん。
赤のまずいのは飲み込めないですからね。
安くてもまずくないのも若者向けにはアピールしやすい部分だし、何よりピンク色が映えるのもいい所です。
もう1つ季節要因が日本にはあるが、ある意味邪魔です。
桜シーズンに色合いが合いすぎちゃって、春の飲み物と化してるんですよね。実際には「夏の飲み物」なのにですよ。
ロゼって本場がプロヴァンスですからね。地中海の夏の飲み物ですよ!
甲殻類とサーモンとの相性はめちゃくちゃいいから、エビマヨのピザとだって旨いよ!!もっとロゼ飲もうぜ!
これまた、スーパーの品揃えは悪いんですよね。
ビールメーカーさん達、若い人が飲まないとか言ってないで、若い人を開拓しなさいよ!と思う日々なわけです。