【中級編】初心者から1歩進める北ローヌワイン解説

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この回では、フランスのローヌ地方の中でも、北ローヌについて解説します。

ローヌは大きく分けて北と南に分かれます。初級編ではその辺をざっくりと解説していますので、まずは初級からと言う方はこちらからご覧ください。

目次の順番で進めていけば、北ローヌ地方のワインについてちょっと深くわかるので、南との違いは明確になります!

南ローヌの解説編はこちらで別解説になってます。

ローヌ地方概要

※この章は南ローヌ編でも同じです

ローヌ地方はフランスでは「南仏」と言われるくくりになります。地図では下の方にギリギリで海が見えるかと思いますが、そこが地中海です。

地中海沿いから北側の渓谷にあるローヌ川沿いに気付かれている産地で、地中海リゾートでイメージする様な暑い所から、北側になると実はそこまでは暑くない温和な気候になります。

気候帯でも北は大陸性気候で、南は地中海性気候なので、実は結構違う気候をしています。

地図で見てもわかる通り、北側はいかにも狭い川沿いの渓谷に産地が築かれていて、横幅がない産地ですが、南側は開けた大地に築かれていて横幅もありますよね。

これは見たまんま、北側は川沿いの渓谷しか産地になっていないからです。

このため、北側と南側では産地の特徴が異なるので「北ローヌ」「南ローヌ」に分かれて解説されている事が多いのですが、そこまでの違いは最初の頃はかなりわかり辛かった記憶があります。

何となく温かいから「シラー」なイメージを植え付けられたりもしますしね。

「グルナッシュ」が単一品種でほとんど存在しないので、グルナッシュのイメージがつかめない分も「シラー」のイメージが強くなってちゃうんだとは思います。

解説するにも北と南は分けた方が特徴もわかり易いので、中級からは北と南の解説を独立させてあります。より違いがわかり易い様に!と言う目的もありますよ。

それから白ワインは生産量が少ないです!それでもそれなりにいい物も算出しているので、白ワインは白ワインで別チャプターとして解説します。

北ローヌの赤ワイン概要

北ローヌで最初に覚えなくちゃいけない特徴は赤ワインの品種は「シラー」しか使えない事です。

ローヌ全体として「シャトーヌフ・デュ・パプ」のイメージが強いせいか、「北はシラーのみ」ってなんだか覚えられない気がしてます、僕がなかなか覚えてなかったような気がしますし。

もう1つ「北ローヌ」がイマイチ浸透しづらい要素だと思うのですが、基本的にちょっとお高いんですよね。お値段が。

最優秀AOPは「コート・ロティ」「エルミタージュ」が2強だと思いますが、両方ともシラーが「主体」です。「主体」って書いたのは「コート・ロティではヴィオニエ」「エルミタージュではルーサンヌとマルサンヌ」って言う白ブドウを少し混ぜてもいいからです!

実際には混ぜてる人減ってきてますが、たまに少量混ぜてる人がいるって特徴だけ何となく頭の片隅に置いておいてください。

北ローヌは誤解が半端ない地域で、一昔前に「がっつり濃い」味わいの「コート・ロティ」が流行った時があったのと、「コート・ロティ = 焼かれた丘」の意味も相まってか、めちゃくちゃ暑い産地だと思われがちです。

しかし実際には温和(Moderate)な気候なので、気温自体はさほど高くはないです。夏でも30℃行かないのはざらですからね。

濃いワインが流行った時代に濃く作りすぎたせいで、本来のクラシックな味わいである、エレガントでスパイシーなシラー種の味わいが、浸透していないのが悩ましい問題です。

結構ワインに詳しそうな人でも、勘違いして覚えてしまった人も多いので、よりイメージの脱却が困難になってる気がします。

ホントは結構涼しい!

ここを押さえておかないと、新しいヴィンテージ飲んで「あれ?濃い味しないな??」って「?」マークがいっぱいついちゃいますよ。今は昔みたいに濃い味で造りません!!

ロバート・パーカーのおかげで売れた地域ですが、ロバート・パーカーが付けてしまったイメージが足かせになりつつあります。

シラー種の特徴を最初に習うときに「スパイシー」が必ず出てくると思いますが、濃い味のシラーには結構な可能性でスパイシーさが出ませんので、一昔前にシラーを覚えた人でスパイシーさを理解できてない可能性も結構高いです。(いや、僕も実際に相当理解してなかったよ)

コート・ロティ (Cote Rotie)

ローヌと言う産地において最北のAOPが「コート・ロティ」です。

海からも離れた渓谷沿いなので、地中海性気候からは離れた大陸性気候。そして何度も言いますが温暖(Warm)ではないです!温和(Moderate)な気候です。

これはコート・ロティの隣町「Vienne」の年間気温の推移です。

Warmより上のHotすら想像されている方がいるんじゃないだろうか?と言う土地ですが、こんなもんです。

暑そうなイメージはAOP名が直訳すると「焼かれた丘」になっているのと、一番流行った時がロバート・パーカー全盛期で濃いワインばかり作っていた時代だからです。

1990年代~2000年前半ぐらいまでは本当に「濃いワイン」ばかりが生産されて、それがパーカーポイントで90点台後半をたたき出すもんだから、どんどん濃くなっていったんですね。

そう言ったワインは基本的に過熟(over ripening)させてブドウから、さらに抽出も濃くなるようにして作っていました。(何なら果汁濃縮機なんて物を使ってました)

本来の温和な気候で造る「シラー」とはかけ離れた姿で世間にイメージが付いてしまったので、ワインの新しい時代に乗らない日本ではより一層、本来の「スタイリッシュなシラー」のイメージが付きません。

コート・ロティの解説に戻ると、ローヌ川沿いの「南向き」斜面がほとんどを占めるAOPです。この南向きが「焼かれた丘」を印象付ける日当たり抜群の斜面です!

日当たりがいいので、タンニン分なんかは確かに結構発達しますから、フルボディにはなります。しかし、一日の気温差が激しい土地でもあるので酸は奇麗に保たれて、濃すぎず酸が奇麗に保持されるのが本来の姿なんですよね。

「テロワール」を尊重するとすれば、間違いなく「スタイリッシュでスパイシーなシラー」が本来のコート・ロティの姿です。

土壌は大きく分けると2つああり

コート・ブリュン「Cote Brune」と言われる鉄分の豊富なシスト土壌(別名:ミカシスト)
コート・ブロンド「Cote Blonde」と言われる片麻岩土壌

に2分される。詳しく解説すると上級なので、「2つあるんだな」と言う事だけ抑えましょう。

共に「岩」っぽい土壌なので日中の太陽からの熱をため込んで、この辺りに吹く特有の涼しい風「ミストラル」からブドウの樹を守る効果もありますし、成熟期の「温度」としても有用です。

一部、20%までヴィオニエを混ぜてもいい!と言うルールがあるAOPですが、混ぜても数パーセント程度、最近は混ぜない人の方が多いとも思います。

温暖化の影響と味わいのエレガント嗜好もあるので、今後はもしかしたらこのルールが物凄く生きてくるかもしれません!!

フランス全般の問題ですがAOPで雁字搦めなので、今のままでは気候変動についていけなくなる!と言われている地域が沢山あります。コート・ロティはこのヴィオニエルールがあるから、結構安心できる地域です。

エルミタージュ(Hermitage)

北ローヌの中では南側に位置し、ローヌ川とその支流のイゼール川に挟まれた場所にある。

コート・ロティからは100kmほど南ですが、ここでも大陸性気候に分類されています。とはいえ100kmも南になれば気温がちゃんと変わってきます!!

2℃ぐらいですけどね。コート・ロティよりも温かいんです!(このデータはエルミタージュの南隣の町ヴァランスの物)

しかし2℃も暖かければ気候帯としての区分は1つ上がってもおかしくないですからね!かなり温暖(Warm)よりな温和(Moderate)な気候になってきます。

そうなると出来上がる果実も、完全にエレガントさよりも果実感が強くなってきます。

エルミタージュもコート・ロティと一緒で南向きの斜面がほとんどです!

土壌も花崗岩が主体な場所が多く、やはり岩っぽいので太陽光の温度をため込む性質がありそれが成熟の助けにもなります。

コート・ロティよりも明らかに「果実感あるシラー」が出来上がる事が多く、スパイシーな部分は行く分感じません。

そしてコート・ロティ同様に白ブドウを混ぜてもいいルールがあります!ここでは「ルーサンヌ」「マルサンヌ」が混ぜてもいい品種です。コート・ロティ同様で現在は混ぜてる人少ないですね。

クローズ・エルミタージュ(Crozes-Hermitage)

エルミタージュはちっちゃいAOPなのですが、その周辺に広がるこっちは大きいです!

気象条件などはほとんど一緒ですが、こちらは南斜面とは限らないですし、そもそも斜面ではない平地部分もあります。

「非常に多様性がある」と言えば聞こえはいいですが「平凡な所からいい畑まである」と言い換える事も出来ます。

その代わりお値段に関しては、かなり良心的になります!1000円台は結構厳しいですが、2000円前半ぐらいで美味しいのが十分見つかります。

多様性があるので、南向きの温かい畑から出来る「濃い系」からともすれば北斜面だったり涼しい場所から出来る「エレガント系」まで揃うので、なかなか特徴は掴みづらいですね。

それでも「北ローヌのシラー」をお勉強したい場合はこのAOPを頼る事になります!ここ以外はお勉強するにはお値段が高い!

その他の赤ワインAOP

その他に2つ赤ワインのAOPがあります。コート・ロティとエルミタージュに比べればお値段が控えめですが、それでも3000円は超えてくるのでなかなか手が出ない地域で、営業の立場から言えば「はっきり言って売れません!」

各社同じ悩みを抱えるので輸入自体かなり少ないので、見かける事も珍しいと思います。

サン・ジョセフ(Saint-Joseph)

コート・ロティとエルミタージュの間にあるローヌ川沿いのAOPで南北に長いのが特徴ですね。

赤ワインの生産がほとんどで、当然ですがシラーが主体です!

南北に流れる川沿いの斜面なので、向きとしては東斜面が多く、コート・ロティやエルミタージュよりも日当たりがいいわけではないので、シラーの成熟としても1段階落ち着きより「エレガント」なスタイルになります。

この辺りのAOPとしては一番軽めのワインを生産します!(クローズ・エルミタージュは除く)コショウ風味も一番強く出ると言われていますよ。

白ワインの生産もありますが、少量です。

コルナス(Cornas)

北ローヌでも最南端で、他に比べると圧倒的に暖かい気候です!

シラー100%の赤ワインに限定されているAOPで、南向き斜面も結構多い土地。つまりフルボディなシラーが生産されるAOPです。

エルミタージュよりか下手したらフルボディで、濃いシラーワイン探したい場合は最も見つけやすいAOPでもありますが、めったに見かけません!

北ローヌの白ワイン

北ローヌの白ワインは生産量自体かなり少ないですが、大きく分けて2つのタイプに分かれます。

品種できっぱり分かれるのでわかり易いですが

ヴィオニエ
ルーサンヌマルサンヌ

の2通りのワインが作られれています。

しかもAOPもきっぱり分かれているので、書面で覚えるのは簡単です。が、飲んで覚えるのは難関です!

なぜなら・・・高いし滅多に見ないからです!!

コンドリューとシャトーグリエ(Condrieu & Chateau-Grillet)

シャトーグリエはコンドリューの中にある、特別にAOPが名乗れる単一畑と考えると話が早いです。

ブルゴーニュ的に言えば「ヴォーヌ・ロマヌのロマネ・コンティ」です。モノポールですし、この認識でいればとりあえず中級は余裕のクリアです。

後はコンドリューの解説ですが

ヴィオニエしか使えないAOPです。

ヴィオニエの高級ワイン自体ここ以外には存在しないんじゃないかと思うのですが、他地域や国で見かけるヴィオニエのイメージは「最高に華やかな香りが強い・・意外と味ないけど」なんて感じなワインが多く見受けられます。

でも、そのイメージでかかると「思ったほど華やかじゃないぞ」となります。その代わりと言っては何ですがもっとずっと「重たい」ワインです。

樽を使ってるわけではないですが、凝縮感たっぷりの果実が詰まったみたいな味わいで、果実感だけで重たい!感じですかね。

正直数回しか飲んだこともないですし、正しく表現できないですが、なかなかに玄人向きなワインです。

めっちゃうまい!!にはいまだ出会った事がないですし、その話すらあまり聞きません。

ルーサンヌ&マルサンヌ

こっちの2つを混ぜる白ワインは「エルミタージュ」「クローズ・エルミタージュ」「サン・ジョセフ」で生産されています。

特徴は

・果実感がある
・酸はあまりない
ちょっと苦い

の3点です。「ちょっと苦い」だけ赤文字にしたのは、それこそがこのワインの最大の特徴だからですね。

本によればマルサンヌが「こくがあり濃厚」、ルーサンヌが「酸味と芳しい果実風味」なんて書いてありますが、単一で見る事がほとんどないので、正直な所本当にそうなのかよくわかりません。

ただ間違いなくこの2つで造るワインは「苦み」があります!

苦みって食中酒としてはかなり優秀で、甘い時のアクセントにも酸っぱい時のアクセントにもなります!マリアージュ考える時にもっと流行ってもいいワインランキングで、個人的にはかなり上位です!

そして、例にもれず・・・もれなくお高いです。

まとめ

なにせこの地域は「暑い」と思われがちなんですよね。

何度も言います!

暑くないよ!日当たりがいいんだよ!!

夏の気温が30℃行かない地域だって事を忘れないです下さい。

そしてシラーは本来「濃い」ワインの品種ではない!と言う事も覚えましょう。さもないとワインの世界から置いて行かれます!

中級以上を目指す方は「シラー」の本来の姿を覚えなさい!ってのが北ローヌのまとめになります。

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