【中級編】ロワールワインをわかり易く解説②

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その①で「中央フランス」以外の3地域を解説しているので、そちらも併せて読むと、ロワールに詳しくなれますよ!

まだその段階じゃない!もっと初心者向けに簡単にまとめて欲しい!なんて時は初級編をご覧ください

このページは中央フランス地区だけに焦点を当てているので以下の順に解説します

・中央フランス地区の概要
・プイィ・フュメの解説
・サンセールの解説
・その他の地区

ライバル関係にある2つのAOPがやっぱりメインです!中級者ぐらいからはこの2つの地域の違いを何となくでいいので、理解出来るといいと思います。

中央フランス地区(Centre)の概要

出典: Fernando Beteta

ロワール全体の地図で見て東側の緑がサンセールで、その川を渡って対岸がプイィ・フュメです。地区の名前が「中央フランス」ってぐらいなので、フランスのど真ん中ぐらいに位置するのがこの地域でございます。ロワールの他の地域よりも実は「シャブリ」が近いぐらいの距離感だったりします。

ここまで内陸になれば当然ながら大陸性気候。緯度も北緯48℃付近ですからワインベルトの北限にも近く、冷涼な気候です。

降水量も少なめで、ワイン産地としては理想的な「日較差」「低降水量」「ドライな気候」「涼しい気候」がほぼ揃っています!

土壌も白亜の石灰質が全体的に多く、水はけもいいので、これまた理想的な条件です。なるべくしてなった、ワインの銘醸地と言っていい地域ですね。

生産品種は「ソーヴィニヨン・ブラン」がこの地区の生産量の「75%」を占めて、圧倒的な地位を確立しています!そしてこの「ソーヴィニヨン・ブラン」価格的には間違いなく世界一高いソーヴィニヨン・ブランの産地で、世界最高の産地の1つとして君臨しています。(ニュージーランドがNo.1と言う人もいるでしょう)

ピノ・ノワール」の生産も近年では注目を浴びてきています!かつては熟さなかったのですが、温暖化の影響もあり、ちゃんと熟すようになってきました!

そうなるとちょっと過熟気味な年が散見するようになったブルゴーニュよりも条件的には、正直言って上になる可能性がかなり高いと思います。土壌的にも向いてますからね。

ただ、温暖化の影響はいい事ばっかりではございません。ピノにはちょうど良くてもソーヴィニヨン・ブランには過熟の可能性が出てきますし、芽吹きが早くなってきているので霜害リスクがめちゃくちゃに上がっています。

近年でも2016、2017年なんかは霜で大きな被害を被ってしまいましたので、生産量が激減です。

さて、概要はこれぐらいです。後はこの地区の最大の銘醸地「プイィ・フュメ」と「サンセール」の解説がメインですね!

プイィ・フュメ(Pouilly-Fume)の解説

まずはロワール川で言えば東側。上の地図で言えば濃いめの青地域がプイィ・フュメです。とにかくキーボードで打ちづらいですね。カタカナ表記もなんか読みづらいし。

ロワールのソーヴィニヨン・ブランについて勉強し始めると一番最初に目立つのはこの「プイィ・フュメ」なのではないでしょうか?

この読み辛いカタカナが目につきやすいのと、おそらくは「フュメ香」と言う単語に行きついて

プイィ・フュメ = 火打石の香(もしくは燻製香)

と言う情報が最初に触れる情報になるんじゃないかと思います。

はいっ。その通りで火打ち石土壌(シレックス)で有名な産地なのは間違いありません!が、意外と全体が火打石なわけではありませんので注意です。むしろ少数派です。

全体的には粘土石灰質で「キメリジャン」なんかも多くみられる土壌です。キメリジャンはシャブリのイメージが強いのでミネラルきれっきれ!なイメージですが、粘土も混じった石灰質土壌です。

なのでキレ一辺倒ではなくて「厚み」もそれなりに作ります。シャブリが「キレ」に偏った生産した時代のせいでイメージ的に「キメリジャン = キレのある味わい」になり過ぎてる傾向にあります。

プイィ・フュメもミネラル感がありキレのある味わいですが、ソーヴィニヨン・ブランと言う品種の特性もありますが、キメリジャンの「厚み」はあるのです。

この部分はサンセールのワインの方がイメージ分けしやすいと思いますので、そっちで詳しく触れます。

また、プイィ・フュメは白ワインしか生産できないので「プイィ・フュメ = ソーヴィニヨン・ブランの白ワイン」で間違いないので覚えるのも楽ですね。

同じ地域で「シャスラ」と言うブドウからもワインを生産できますが、その場合は「プイィ・シュール・ロワール」と言うAOPになるので、区別もされてるし、そもそも生産量も少ないので、よほどマニアにでもならないと覚えないAOPではあります。

サンセールの解説(Sancerre)

プイィ・フュメから川を挟んで対岸にあるのが。サンセールです。

プイィ・フュメよりも2倍ぐらい面積もあるので、土壌の多様性もこちらの方があります。と言っても全体的には「粘土石灰質」です。

こちらは粘土石灰質でも結構細かくいろいろとタイプがあるのと、最近では生産者も「単一畑」や土壌タイプで分けて生産する先進的な生産者が、プイィ・フュメよりも多い印象があります。

なので、土壌タイプによる「ソーヴィニヨン・ブランの味わい」を知りたい場合はサンセールの方がはるかに比較しやすいワインがあります。

サンセールに存在する土壌は主に3タイプ(ないし4タイプ)に分けられます

・カイヨット 石灰質で白っぽい 全体の40%
(・グリオット 石灰質でカイヨットに似てる 全体の5%)
・テール・ブランシュ 粘土石灰質(キメリジャンの事) 全体の40%
・シレックス 火打石交じりの粘土石灰質 全体の15%

グリオットをカイヨットど同じにするかどうかで、3つか4つか分かれる感じです。

こうやって並べてみるとわかるのは「キメリジャン」が一番「粘土」多そうな事ですよね。実際に粘度多いので、サンセールでは一番重たいワインが出来る土壌がキメリジャンです。

シャブリのイメージからすると軽いワインなのに、石灰質系の中では意外と重たいんですよ。

「カイヨット土壌」は最初の写真のような白い石みたいのがゴロゴロしてる、白い台地です!ほとんど粘土質も含まないので、水捌けがよいですね。

ミネラル感ある味わいと、酸のバランス、割と華やかな香りが出るのが特徴で、一番「THE サンセール」な味わいはこの土壌がもたらしている気がします。

5%しかないのでわかり辛いですが「グリオット土壌」の方がより緑っぽい香りが出やすいらしく「ピピ・ド・シャ」(猫のおしっこ)の香りが最も出やすい土壌になるそうです。

「シレックス」になると粘土も含まれてくるのでもう少し豊かな味わいになってきます。プイィ・フュメのシレックスより色が白い傾向があり、プイィ・フュメ程「燻製」みたいな香りが出ないそうです。プイィ・フュメのシレックスは赤みがかっている分も燻製香が出やすいとか?!

「テール・ブランシュ」はいわゆるキメリジャンで、4つの土壌の中でも粘土保有率が一番高くて、この地域ではボリューム感あるワインを生む土壌です!粘土が多い土壌の特徴ですが、春に地温が上がるの少し遅くなるので(水分が多いから温まるのに時間がかかる)少し芽吹きが遅かったりと生育サイクルが少しゆっくりです。

熟度も上がりやすいので、より重たい果実感と骨格が備わるので、比較した場合に結構すぐに気が付けます!(あ、これテール・ブランシュだな)

この地域の2大土壌である、「カイヨット」と「テール・ブランシュ」は結構味わいに差が出るので比較試飲が面白い地域です!

ソーヴィニヨン・ブランも昔のイメージよりもテロワール別のワインにシフトしてきているので、サンセールこそがそのテロワールの差異を確認するのに最も向いている地域なので、中級から上級を目指す時には一番勉強材料として優秀ですよ!(値段もそこまで高くないし)

さらに最近ではピノ・ノワールの生産も注目度が上がっています!かつてよりも温暖化した影響で、確実にブドウの成熟度が上がっており、しっかりといい感じに熟します。

そうすると、クラシックなブルゴーニュみたいな作りも可能なので、テール・ブランシュ系の粘土石灰土壌では可能になってきます。

まだまだ醸造技術などがブルゴーニュに比べると粗削りな感じはするので、感動する様な物には出会いませんが、3000円そこそこで美味しいピノは確実に増えてきているので、ブルゴーニュの値段高騰を考えると、ねらい目な産地です。

その他の地区

・ムヌトゥー・サロン
・カンシー
・ルイィ
・コt-・デュ・ジェノワ
・シャトーメイヤン

と言うAOPがその他に存在しています。

中でも「ムヌトゥー・サロン」はサンセールのすぐ西側位にある産地です。

航空写真で見ると近いのがよくわかると思います。

しかし、知名度はイマイチです。正直ワインもあまり売ってるのを見ませんがサンセールよりもお買い得な物があるので、ソーヴィニヨン・ブランが飲みたい時にはとっても使い勝手がいい産地です。

何度も言いますがあんまり売って無いですけどね・・・そもそもあまり輸出してないみたいです。

さらに西に入り込むと「カンシー」「ルイィ」なんかも出てきます。ここも大して輸出自体をしてないみたいですが、お買い得なソーヴィニヨン・ブランが生産されている産地です。

コトー・デュ・ジェノワ」はサンセールよりもロワール川を北上したとことにある産地です。ここでもメインはソーヴィニヨン・ブラン。ピノとガメイを混ぜた赤ワインも生産があります。

シャトーメイヤン」はぽつんと南側にある2010年にAOPが認可されたばかりの産地で赤とロゼだけの産地です。」最近出来た」って事「赤とロゼのみ」って辺りがソムリエ試験で出そうな産地ですね。実際には見た事がありません。

まとめ

中央フランス地区がロワールの主役でありながら、最も生産量が少ない地域でもあります。

しかも市場で見かけるのは「プイィ・フュメ」と「サンセール」しかほぼない為に、ロワールの高級産地と言っていいでしょう。

ソーヴィニヨン・ブランの最も代表的な産地で、味わいにも語られる物が多いので、中級からはしっかりと勉強しないといけない産地です。

お勉強法のオススメはサンセールの土壌比較ですよ!

そっちやってからプイィ・フュメの方がわかり易いと思います。ソーヴィニヨン・ブラン縛りなのでそれでもわかり辛いかもしれませんが、ソーヴィニヨン・ブランのイメージを「柑橘系の香りと、緑のハーブ」から脱却してこそ上級者です!

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