【中級編】ロワールワインをわかり易く解説①

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知名度に対して、ずいぶんわかり辛さがあるロワールなので、初級編で思いきった切り捨てをした解説をしています!初心者の方はそっちから読むことをお勧めします!

むしろここを読まない方がいいぐらいですwww

さて、①として2回に分けるのは、1つの記事で全部書くと長くなりすぎるからですね。

そこで、中央フランス部分だけ切り離して解説をする事にします。中央フランスがいわゆる「THE ロワール」なソーヴィニヨン・ブランの代表産地なので、そこはそこで解説した方が切り離して考えやすい!と言う目論見もあります。

②の「中央フランス」に関しては上記を。ここでは

・ロワール全体の概要
・ペイ・ナンテ地方の解説
・アンジュー・ソミュール地区の解説
・トゥーレーヌ地方の解説

の順で解説していきます!

ロワール地方の概要

出典: Fernando Beteta

ロワールはフランス地図で見るとわかる通り、割と北部にある産地で西は大西洋沿い、最後はフランスの真ん中ぐらいまで食い込んでくる、東西に長い産地です。

すべてロワール川沿いに産地があるので「ロワール」と一くくりにされていますが、実際には4つの地域に分かれて解説されやすい事でもわかる通り、結構一くくりにしない方がいいぐらい産地の気候条件なんかが違います。

あと「全長1000kmのロワール川沿いにある産地」なんて言う解説をたまに見かけますが、川の全長は1000kmあっても産地地自体は300km程度です。

とは言え300kmって東京から新潟ぐらいまで行けるので、その間ずーっとブドウ産地と思うとめっちゃ長い産地ですよね。

気象条件

気候的な条件から解説しますと、東西に長い事で西側の海寄りと、フランスの真ん中あたりでは全然違う気候になります。

海側はわかり易く海洋性気候で、雨量も多く、湿度も高い。唯一いいのは海が近いので霜害が少ない事です。(水の塊が近い所の気温は落ち切らない!!)

海から離れるほど今度は大陸性気候の特徴がはっきりとしてくるので、朝夕の気温の差が大きくなります。日較差(Diurnal Range)が大きいと言うのはいいブドウを作るうえでとても重要な要素なので、大陸性気候はブドウ栽培に向いています!

とは言え雨は決して少なくないのがフランスの気候ですから、それなりに病気対策なんかもしていかないといけないですし、ヴィンテージバリエーションも出やすい特徴があります。

気温的な条件もフランス北部でワインベルトでも北端近いので、部分的に屋温和な所もあるが基本的には冷涼な気候がほとんどで、おかげさまで酸度の高いワインが生産量の多くを占める事になっている。

土壌について

土壌に関しては東西に長いだけあって、ブルゴーニュのように「基本的に石灰質」みたいな全体の特徴がはっきりしているわけではないので、各々の地域解説ごとに分けて解説していきます。

ペイ・ナンテ地方(Pays Nantais)

出典: Fernando Beteta

大西洋沿い、ロワール川の終点付近にある産地がこの「ペイ・ナンテ地方」です。

はっきりとした海洋性気候で、湿度も高めで雨が多いのが特徴です。

ミュスカデ・セーヴ・エ・メーヌ(Muscadet Sevre-et-Maine)が最高峰の産地とされていて、他にも「ミュスカデ」で始まるAOPがいくつかありますが、個々の特徴をつかめるほど、ここのワインに詳しくなることは、たぶん一生ないです。

名前からもわかる通り、主要品種と言うか唯一の品種が「ミュスカデ」(Muscadet)で、これはもともとはブルゴーニュで自然交配によって生まれた品種でなので別名「ムロン・ド・ブルゴーニュ」と呼ばれています。

1700年代にこの地域のブドウが寒波で全滅したらしく、耐寒性の強い品種を選んだらこれだったって言う歴史があるそうで、現在の産地を確立しています。

土壌はシスト土壌がメインになりますが、片麻岩、花崗岩なんかもあるみたい。どれをとっても石系ですね。土っぽいと言うより岩山っぽいのを想像した方がわかり易いと思います。

こう言った土壌はミネラル分が強い系の味わいになりやすい特徴があるので、ミュスカデのワインにもその特徴は現れます。

しかし、それ以上にこの地方のワインには「シュール・リー」製法による特徴の方が大きいでしょう。「澱の上」と訳される製法で、熟成中も澱と一緒に半年ぐらい過ごす方法ですね。

普通は澱からの雑味なんかを嫌うので、澱引きして熟成させる事が多いのですが、あえてそれをしないのは「ミュスカデに個性がないから」と言う事に尽きます。

めちゃめちゃニュートラルな品種で、そのまま普通にワインを造ると

「軽くて特に果実感も香りも無くて、いや別に嫌な香りがするわけでもないんだけど・・・なんも感じないんだよね。」

と言う味わいになってしまうので、澱からの雑味以上に旨味を引き出したいが為の製法です!(ほかの地域でもわざとやる人はいますが、この地域では苦肉の策です)さもなくば味わいのないワインになってしまうので、これで旨味を足しなんとかしてます。

日本の甲州種も同じことするのは、こう言う理由です。あれは糖度も足りてないので、補糖するから余計に個性がないんですが・・・

基本的に高級ワインも存在せず、安ワインの産地になっているのが悩みの種ですが、海洋性気候なのでやれる事も限られている将来的にも難しい地域ではあります。

アンジュー・ソミュール地区 (Anjou&Saumur)

出典: Fernando Beteta

ペイ・ナンテ地域の東側に行くと、アンジュー&ソミュールです。

初級編では「ここ」と「トゥーレーヌ」をあえて一緒くたにして解説すると言う強引な方法で解説したのは、はっきり言ってわかり辛いからです!中級なのでその辺を少し細かく解説していきます。

地図上で一番色が薄い所が「アンジュー」ですね。結構広いんです。東の赤が強めの場所が「ソミュール」で、黄色い所は「コトー・デュ・レイヨン」と呼ばれるAOPになります。

この地域は海からの距離を考えるともっと湿度が高くても良さそうですが、手前にあるモージュ丘陵によって保護されているので、湿度が届かず乾燥している天候になるラッキーな場所でもあります!

主要なブドウ品種は

シュナン・ブラン
カベルネ・フラン

の2つで、割と粘土質な土壌が多く見受けられる地域で、ソミュールの方が幾分石灰質が多い感じに混ざってきます。

結果とし、「シュナン」も「フラン」もソミュールの方がより軽快な味わいになる傾向があるのですが、この辺りは飲んでみるとはっきりとわかり易い地域だと思うのでお勉強向きです!

それから貴腐が発生しやすい川沿いの地域に「コトー・デュ・レイヨン」があります。シュナン・ブランで造る甘口から極甘口まであるAOPですが、シュンナ・ブランの酸味がいい感じに残っている事が結構あるので、甘口ぐらいだと食中酒としても全然いけちゃう美味しいワインが出来るので、個人的にも好きな地域です。

クレマンの生産もロワールでは一番盛んな地域で、シュナン・ブラン主体。スパークリング用に作るシュナン・ブランじゃたいていの場合、熟して潜在アルコール度数10%程度のギリギリ完熟ブドウです。

そうなると酸がきりっと仕上がるので、酸が奇麗な切れ味のあるスパークリングワインになるのが特徴的でもあります。夏には最高ですよ!

トゥーレーヌ地方(Toureine)

出典: Fernando Beteta

アンジュー&ソミュールをさらに東に進むとトゥーレーヌ地方です。

初級編で一番無茶をした解説をした地域でもあります。だって「ソーヴィニヨン・ブラン」作ってる事を忘れろ!って書いたんですもん。

ピンクっぽい色した部分が広域な「AOP トゥーレーヌ」で主要な品種が「ソーヴィニヨン・ブラン」なのにですよ?!

実際ソーヴィニヨン・ブランの生産が多いのですが、ここで生まれるソーヴィニヨン・ブランはテーブルワイン的なカジュアルな物がほとんどを占めていて、実際にお目にかかる機会もかなり多いです!

しかし、そのイメージが強くなり過ぎで「シュナン・ブラン」が陰に隠れまくっちゃう事がしょっちゅうあるので、あくまでもテーブルワインのソーヴィニヨン・ブランの事は忘れて、ここで一番本領発揮している品種である「シュナン・ブラン」を理解しよう!と言う趣旨があるわけです。

実際問題「シュナン・ブラン」はその美味しさに対して売れ行きがあまり良くない品種です。その原因の1つがソーヴィニヨン・ブランの陰に隠れてしまう事だと思うので、あえて伏せました。

もう1つ「シュナン・ブラン」が輝きにくい理由があります。それは味わいの基礎がない事ですね。作る場所によって熟度がだいぶ異なり、熟さない地域では青さが出て、酸が高く、ペラペラなワインになってしまうのですが、しっかり熟す地域では糖度が高くなるので、ボディもしっかりして、酸よりも甘さが勝つようなワインになります。

両極端な味わいになるので、キャラクターがイマイチつかめないのもソムリエ泣かせだし、消費者なんてもっと泣きます。

その最たる例がこの地域の「ヴーヴレ」です。ヴーヴレまでくると味わいのすっきりした物から、はっきりと甘い物、そして発砲してる物!とタイプが様々過ぎでラベルから読み取れる情報が少なすぎます。

「ちょい甘くて発砲してる」

がおそらく一番多く存在しているし、そう言うワインだと思ってる人もいるとは思いますが、実際には情報がなけりゃ開けてみるまでラベルからは判別できない代物です。

そんなワインが生まれる地域なので、何となくわかったと思いますが、環境の差がこまごまとしていて、シュナンブランの熟度が激しく変わる地域と言う面倒くさい場所です。

カベルネ・フランも含めてそうですが、わりかし粘度が多い土壌なので、アンジュー&ソミュールに比べるといくらか豊かな味わいになりやすい傾向にあります。

カベルネ・フランがわかり易くてトゥーレーヌの「シノン」の方がソミュールの「ソミュール・シャンピニー」よりも豊かに感じる事が多いですよ!

その他に「ガメイ」も何気に作れれています。自然派の生産者はこぞって増やしてる感じもするので、そのうちカベルネ・フランよりもメジャーになりそうな気はします。

まとめ

出典: Fernando Beteta

早い話が、西側はミュスカデの産地で、真ん中あたりは「シュナン・ブラン」の産地だと言う事を押さえるのが重要です!

「アンジュー・ソミュール」と「トゥーレーヌ」は品種が同じですが、ソミュールがちょっと群を抜いて軽めになる傾向があるのも注目点です!

いずれしよ、日本では特に人気がない「シュナン・ブラン」が今後はもっと注目されてくると思います!カベルネ・フランはおそらく注目度がさがり、代わりにガメイが台頭す事も予想されますね。

多様性があるので、温暖化に対しても選択肢が多く、変化ができる地域なので、今後の注目度は今よりもずっと高くなる可能性があります!

温暖化は赤ワインに対しては、この地域に限って言えばプラスでしょうからね。

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