【中級編】 赤ワインの作り方

初級編も書いてないのに、中級編書きます。(初級も近いうちに書きます)

中級なので、初級とは違って、赤ワインだけにスポットライトを当てて、より詳しく、作り方を解説していきます!この章の大まかな流れは

・除硬、破砕
・発酵
・発酵後の熟成

と言う、順序で、それぞれのポイントで選択できる事をメリット、デメリットを元に、なるべくわかりやすく解説します。

今回はYouTubeなんかの動画も織り交ぜながら進もうと思いますので、よりリアルに赤ワインの作り方を知る事が出来ますよ!

除梗と破砕

収穫までの事は畑仕事編などで、解説しているので、そちらをご覧ください。初級編の

この辺でも、概要は十分わかると思います。

収穫してきた赤ワインのブドウはまず、除梗して破砕と言う流れに乗る事が一般的です。中には全房発酵(whole bunch fermentatio)と言う、茎を取らずに発酵させる方法もありますが、とりあえず茎を取るパターンで解説していきます。全房に関しては後で、発酵の段階で触れます。

まず第一の、「除梗をして破砕をする」のですが、この除梗と破砕の間に1つだけ取れる選択肢があります。よく聞く選果実ですね。選果は未熟だったり、腐っていたりするブドウを取り除いて、発酵に回さないようにする作業です。

大抵の場合これは手作業でやる必要があるので、人件費がかかります。その為安いワインでは選果なんかしない事がほとんどです。最もニューワールドの安ワイン産地はめちゃくちゃ気候が安定しているので、腐敗果とか未熟な果実と言うのがめちゃくちゃ少ないので、ほぼほぼ必要なかったりもするそうです。

ヨーロッパはそうはいかない事が多いので、安ワインだとそのオフフレーバーが顕著に出てたりします。ヨーロッパンの安ワインの方が全然美味しくない理由その1ですね。

選果は今主流なのは「バイブレーション台」

ブルブル震える台に乗った果実は、あっち向いたり、こっち向いたりするので、人の目で見ても欠点が見つけやすいので、それを手作業で取り除いていく作業ですね。

これを経てから破砕作業に移る方が高品質なワインになります。

そーしてから破砕するわけです。白ワインの映像ですが、除梗と破砕を一気にやってるわかりやすいのがあったので、こんな感じです。

破砕までは赤ワインも白ワインも同じなので、十分参考になる映像ですね。

その後、発酵に移るわけですが、この段階で低温浸漬(Cold Maceration)をする事があります。発酵しちゃわない様な低温状態で、果皮と果汁を触れ合わせておく事で、色素を先に抽出してきたい場合に採用します。

後でどうせ一緒になるのに、これをやる理由として、発酵が始まるとアルコールが生成されます。アルコールがある環境の方がタンニンが溶解しやすい状態なので、アルコールが生成される前に、色素だけ抽出しておく事が出来ますし、発酵で飛んで行っちゃうフレッシュなアロマなんかも抽出しておけます。

つまりタンニンはあんまり欲しくないけど、色合いとかアロマは欲しい。そんな時は低温浸漬をするのが有効な方法です。逆にがっつり濃いワインを作りたい場合はいらない作業ですね。

発酵中の選択肢

果皮を漬け込む方法

発酵が始まると、ワインの中では酵母によって糖分がアルコールと二酸化炭素に置き換えられる作業が始まります。この時に発生する二酸化炭素のおかげで、発酵容器の中は泡がぶくぶくしています。

発酵中に赤ワインで重要な作業は、ブドウの皮が表面に浮いてくるので、そのままにしておくと、色素もタンニンも抽出されないので、これを液体に浸す作業をしなくてはいけません。そこで取られる2大有名な方法が

パンチングダウン(ピジャージュ)
ポンピングオーバー(ルモンタージュ)

パンチングダウンは読んで字のごとくなんですが、上から押して、果房を液体に沈める作業ですね。

昔はこれしかなかったので、伝統的な作戦です。実は結構危険な作業で、発酵中のワインと言うのは、絶えず二酸化炭素を放出しています!つまり発酵槽の上には二酸化炭素が充満しているのです!換気を良くしていないと、人間なんて一瞬で意識を失い、もちろん死に至る場合もあります。その昔は、作業から帰ってこない人が、ワインの桶に落ちて死んでた。なんてざらにあった話らしいですが、今は2人以上で挑むとか、そもそも機械化している場合が多いです。

ポンピングオーバーはポンプで下から吸い上げた果汁を、果房の上に戻していく作戦です。こちらは果汁の移動と拡散があるので、温度を下げる役割もあったりします。

こんな感じで、上からジャーっとかけていきます。

他にも超メジャーではないですが

ラックアンドリーターン

フランス語ではデレスタージュ、と言う方法もあります。これはいったん果汁を全部抜いて、果汁と果房にわけます。

で数時間酸素に果房を触れさえた後に果汁を戻す方法です。この方法はタンニンとか色素の抽出が他の方法よりも大きくなります!

ロータリーファーメンター

これは結構最新式の方法で日本語に直すと「回転式発酵槽」ですね。発酵タンクが横倒しの円筒形で、それが絶えずゆーっくり回っているので、常に果房が沈んでっちゅー、何とも最新機器なメカニカルな醸造方法です。クラシックな方法に比べると洗練されてる気がします。

僕の知ってるボルドーのシャトーで、これに似た原理なのですが、熟成に使うような小樽にブドウを入れて発酵させて、樽を転がす!って言う奇想天外な発酵方法を採用しているところがあります。タンニンの抽出がめっちゃ綺麗になると言ってましたが、なるほど確かにシルキーでしたよ。

マセラシオン・カルボニックとか全房発酵関連

さて、ここまでは茎が無い場合の話でしたが、茎がある場合。つまり全房発酵の場合にはどんな違いがあるか見ていきましょう。

全房発酵(Whole Bunch Fermentation)は茎があるので、発酵以前の問題で、まず茎もしっかりと熟している必要があります!熟してない茎は思いのほか青っぽかったり、苦みを出したりするので、とても重要です。

前に生産者にどうやって茎の熟成を見極めるのか、質問したことがあるのですが、「うーん、なんだろ。経験だね。噛んでみてたり」と言っておりました。ブドウみたいに数値を測れるわけではないので、柔らかさ、とか噛んでみたりとかで判断するみたいです。

全房発酵の場合主役になる、醸造法があります。たまに聞く言葉「Carbonic Maceration」カルボニック・マセラシオン。日本語だと「炭酸ガス浸漬法」と言う方法です。

この手の発酵はブドウに傷がついてると、果汁が出ちゃうので、茎が付いてる必要があるんです!ブドウを茎から取ったら・・・巨峰とか思い起こしてください。穴が開いちゃうじゃないですか。だから全房である必要があります。

炭酸ガス浸漬法(大体全房発酵)

結論から先に書くと、フレッシュなワインを作りたい場合に採用する方法です。

これはブドウを房ごと、空気の逃げ道が無い密閉容器に入れてしまし、その中をブドウと二酸化炭素でいっぱいにします。すると、ブドウはまず、皮が付いたまま、粒の中で小さい酵素によって発酵をを始めます。この発酵はブドウの皮に付いている酵母とは違い酵素が活動するので、その時の発酵で酵母由来とは違う独特のアロマが抽出されるのです。

だいたいアルコールが2%ぐらいに達するとブドウの皮が割れ始めて、いよいよ普通のワインの様な発酵を始めるのですが、たいていここで圧搾してしまいます。

そうすると、色素は抽出されるのですが、この段階ではほぼタンニンが抽出されていないので、出来上がるワインにはあまりタンニンがありません。

そして最初の皮の中で付与された独特のバナナやチューインガムの香りが主体となったフラッシュなワインが出来上がります。

有名なワインがあって、ボジョレーヌーヴォーはこの方法を使って作ります!

半炭酸ガス浸漬法

半になると、途端に高級ワインが作られる手法としても採用されてきます。この方法を採用する有名産地はブルゴーニュですね。

英語名は「Semi-Carbonic Maceration」セミ・カルボニック・マセラシオンになります。聞いた事あると、初心者卒業ですね^^

これは炭酸ガス浸漬法と違い、最初から二酸化炭素は入れません。最初からある程度ブドウを入れておくと、ブドウの重みで下の方のブドウが潰れます。そうするとその潰れたブドウから出た果汁が醗酵して、二酸化炭素を生み出し、潰れていない葡萄に対して炭酸ガス浸漬法が図らずして起こる作戦です。

炭酸ガスで包まれた粒のブドウは、皮の中で発酵を始めて、アルコール度数2%で割れてきます。

全部割れたところで、果汁を抜く人もいれば、ブルゴーニュなんかではそのまま発酵させ続けます。

いずれにせよ、目的としては「フレッシュさと色は欲しい。でもタンニンは欲しくない」シーンにとても有効な作戦です。

ガメイとかピノ・ノワールに求められる要素ではあるので、その辺りの地域で採用されやすいのもわかります。そして、いまワインの味わいが軽くなってきているので、世界でも注目が集まる手法でもあります。

普通と全房の併用

中には普通のワインを発酵と全房発酵を同時にする生産者もいます。茎そうすると液体に包まれているブドウは酸素に触れないので、同じ事がブドウ内では起こるそうです。

全房と、破砕したブドウの割合はその生産者のスタイルによりますが、目的はやはりフレッシュさと軽さを求めています。

発酵の期間とか温度とか

赤ワインの場合は、上記の様な方法を取りつつ大体20~32℃ぐらいの温度で管理する事が多いです!低温の方がフレッシュさが生きますが、発酵に時間かかったりもします。そうすると果皮との接触機関が長くなるゆえの抽出物が多くなったり、反対に高温だと発酵時間は早いかもしれませんが、よく抽出されちゃう物もあります。

高温で一番出ちゃうのは、色素とかタンニンです。先にも書きましたが、タンニンはアルコールが高いとより抽出されやすいので、高温でアルコールが高い状態だとめっちゃ出ます。

なので、低温のメリット、デメリット。高温のメリット、デメリットを作るワインのスタイルによって管理していく必要があります。

ワインの酵母では、あまり大きな話題になりませんが、酵母は同じ酵母でも温度帯によって生成する物質が微妙に違ったりします。そうすると醸される香りが結構変わったりしてくるのですが、これはビールの醸造ではごく一般的な話なのに、ワイン会では一般的ではないのが、個人的には不思議です。もちろん研究レベル、生産者のレベルでは気にする要素なのですが、一般的ではないんですよね。不思議です。

だいたい2~3週間ぐらい発酵させてた後に、赤ワインはここで圧搾するのが一般的です。

圧搾にはいくつか方法があって
・垂直式
・水平式
・空気圧式
の3つが一般的です。

垂直式

これはわかりやすいですね。上から押すんです。
よくフルーツプレストとかで見る機械が大型化した感じですね。

割としっかりと圧力がかかるので、抽出が強めになる傾向があります。

水平式

参考になる写真とかが見つけられず申し訳ないですが、要は左右から押してくる方法です。最も圧力が強くかけられる方法で、この3つの中で抽出力No.1の方法です。

濃いワインが作りたければ採用すべき方法です。基本的には赤ワインで使う方法で、渋みを出したくない白ワインでは皮も種も潰れちゃうので、雑味が気になったりしますので、使いません!

空気圧式

一番主流な方法はこれです。

結構デカくて、いろんなワイナリーで目立つマシーンですね。

空気圧式ってどんな方法かと言うと、このデカい中にブドウを入れて、それから中にある風船を膨らませて、その膨らんだ風船がだんだんとブドウを押していくので、絞れる!って言う方式です。

垂直とか水平に比べて、微調整としやすいのと、垂直なら下の方だけ、水平なら中の方だけ、と圧力が強くなる場所がバラバラになったりもせず、全体にまんべんなく圧がかけられるので、基本的に優しい抽出が出来ます!

雑味のないフレッシュなワインを作りたい時はこれです!

熟成をどうするか

さて、赤ワインは圧搾しました。その後の管理も目指すスタイルによって変わってきます。

赤ワインなのでマロラクティック発酵基本的に、ほぼします!それもこの熟成段階で起こる事がほとんどです。のでマロラクティックは起こる!それはリンゴ酸が乳酸に変わるので、酸が円やかになる!で解説終了です。

貯蔵する容器の話にしましょう。一般的には3つの種類があります。

・ステンレス
・コンクリート
・樽

ですね。コンクリートに関しては、その使用率に関して説明されている資料を見る割合が異様に少ない気がしていますが、フランスのワイナリーなんかは結構一般的に置いてありますし、使用頻度も高いですね。

3つの最大の違いは、どれぐらい酸素に触れるのか?と言う事が大きいともいます。酸素に触れない順に並べると上の順番で、「ステンレス→コンクリート→樽」です。

ステンレスは密封可能ですからね。少なくともどっか開けてない限りは空気に触れる事はありません。コンクリートは少しなのですが、酸素の入り込む余地がありますし、樽は木製ですからね。ある程度呼吸出来ちゃいます。

赤ワインの場合、全部ステンレスで酸素を嫌い過ぎちゃうと、かったーいワインになりやすいので、一部樽やコンクリートの場合が多くなります。

コンクリートは安価に作れるうえに、それなりに酸素にも触れるので、赤ワインの製造では本当に結構一般的です。なんで書いてないのか不明です。

最近「卵型」とか出てきて少しずつ触れられてきてますけど、昔ながらの壁一面コンクリートタンク!みたいなのも、もっとちゃんと解説されるべきです。ボルドーの格付けシャトーだって使うのに、なんで書かれないのか??

最後、樽に関しては酸素に触れる以外にも大きい役割があります。そう樽その物の味わいが出てきます。他の2つと違って天然の材質ですし、なんせ木ですからね。木の味わい。いわゆる樽香りが当然ですがワインに付きます。それをどうしたいかと言うのも、作るワイン次第です。

また、樽が新しいと抽出される香りもタンニンも強くなるので、新樽に関してはより生産者のスタイルを決める上で重要です。最近は樽の味わいが強いワインが嫌われてきているので、新樽比率が下がったり、あと、樽の焼き加減が弱くなったりもしています。

昔の濃いワイン全盛期で、コーヒーみたいな味が付いてた時は、新樽率200%とか(新樽熟成の途中でさらに新しい新樽に移し替える)ハードローストな樽を使ったりしていました。

樽って、作る時に内側を焼くんですよ。炎の力で熱を加えて、木を曲げるのですが、その時に焦げるわけです。その焦げの度合いで「ミディアムロースト」「ハードロースト」なんて違いが出るんです。

当然ハードは焦げ味が強くなるので、コーヒーみたいな風味をワインに与えてくれちゃいます。今となっては余計な味です。が、10年ぐらい前までは流行ってました。

ここはDRCとかの樽を作ってる会社の樽づくり風景ですね。こんな風に焼いてます。

熟成の期間は

熟成の期間についても目指すスタイルによって違いますが、一般的には長期熟成できるような高級な物は長く、早く飲むスタイルの物は短いという傾向にあります。

ワインは出来たての方がフレッシュな果実の香りなんかが強いです!熟成が長くなるとこう言った、フレッシュな香りと言うのは飛んで行くので、早飲みでフレッシュさを大事にしたいワインでは数か月の熟成で終了させます。

ただこの方法はあまり樽の場合、樽の香りが付かないので、多くの安ワインで樽が強いワインはオークチップと言う、樽材の破片みたいのをタンクの中に大量に入れて、強引に樽の香りを付けにいったりしています。

熟成期間が長いワインはその期間に酸が穏やかになったり、タンニンが穏やかになったりするのと共に、熟成によって出てくるアロマも発達します。

こう言った熟成由来のアロマは元々のワインが持つ、「美味しくなる要素」が無いと発達しないので、必然的に質がいいワインにしか使えない方法になります。

普通は長くても2年ぐらいの熟成で瓶に詰めますが、中には5年とか経過する物もあります。が、そこまで行くと酸化熟成的なニュアンスが出てくる場合がほとんどですので、そう言ったスタイルの場合はありです。

あと、あまり長いとワイナリーのキャッシュフローにも優しくないですね。

まとめ

大体こんな感じで、生産者は己のワインが目指すスタイルを描きながら、途中の処理を施していきます。一つ一つの段階で、いろんな選択肢がある事がわかったかと思います。

中級編なので端折りましたが、他にも亜硫酸を添加したり、保酸や保糖と言った、外的要因の要素を入れる場合もしょっちゅうあります。その辺は法律で入れていい量がたいていの場合決まっていますし、入れ過ぎたらそれはもはやワインではありませんので。

酵母も自然酵母と培養酵母と言った選択肢がありますが、これも生産者次第です。どっちがいいか悪いかは、一生議論の結論にはならないと思います。培養酵母って言っても、最初は自然酵母だった物なので。

こう言った、もっとマニアックな処理は上級編でいずれ解説します。