ドイツワインの格付けをなるべくわかりやすく解説

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ドイツのワインは世界的に見ても一風変わった格付け方法を採用している。その上、言葉の響きがかなり日本人に向いていなくて、滅茶苦茶覚えづらい。なんて事をしてくれるんだろう。と思ったのでちゃんと勉強してなるべく分かりやすく解説します。

このページでは

・フランスで言うAOP的な格付け区分
・ドイツワインの格付け背景
・ドイツワイン(プレディカーツヴァイン)の格付け

の順で解説する事で、わかり辛い格付けを多少分かりやすくなると思います!

フランス風の格付けだと

ドイツワインの格付けを解説

ヨーロッパは大体、フランスで言うAOP的な格付けを持っている。PDI&PGOとしてEUが定めている法律があるので、それに乗っ取っりつつ、各国の伝統的な格付けと紐づけて運用してる場合がほとんどで、足並みそろえるためのEU法だけど、各国の伝統を認めてしまってるので、よくわからなくなっている。

例えばフランスではAOPが現在の正しい表記だが、いまだにAOCでもOKなので、もうよくわからない。これから勉強する方は混乱する事間違いなしだ。

話をドイツに戻すと、ドイツは下から並べると

・ドイチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)
・ラントヴァイン(Landwein)

クヴァリツーテヴァイン(Qualitatswein)
プレディカーツヴァイン(Pradikatswein)

と言う4段間で運用している。上二つの「ドイチャー」はフランスで言う「Vin de France」的な、要は「ドイツ産ワイン」ぐらいのでっかいくくり。

ラントになるとフランスなら「IGP」的な格で、「ドイツのどこどこ」と地域ぐらいまでは絞られている格付けになる。

その上の2つ、赤字になっているのが「AOP」的な部分で、AOPがさらに2段階になっている感じ。フランスと言うかイタリアの「DOC」「DOCG」に近い関係だと思えば、まだわかりやすいが、なんせ名前が覚えづらいし、略式がないのが痛い。

しかしドイツはテーブルワインの生産がほとんどない国で、大体のワインが上級格付けの「クヴァリツーテ」か「プレディカーツ」なので、下二つは無視してもいいぐらいの存在です。この際だから無視しましょう。覚えられん。

そして、後程解説しますが「プレディカーツヴァイン」の中でさらに、ずいぶん変わった方法で格付けが細分化されているので、そこんとこ掘り下げていきます。

ドイツワインの格付けが出来た背景

ドイツワインの格付けを解説

ドイツのプレディカーツヴァイン内の格付けは「糖度」によって格付けする!と言う、他の世界では一風変わってるとしか言えない、格付け方法を採用しています。

早い話が、ブドウの糖度が高ければ格上と言う制度です。

もうこの制度で格付けをすれば、暖かい産地の物は、美味しくても、まずくても、アルコール度数さえ高ければ格上のワインになれる事は間違いいありません!きっとチリ辺りなら地域と品種さえ定まってれば、平地のどこでも最上級ワインが生産できるはずです。

でも、なんでこんな制度なのか?っと言う事をちゃんと理解するとドイツワインの見方がもう少しわかります。

ドイツってどんな国でしょう?

ドイツワインの格付けを解説

地図で見ると、ストラスブールって書いてある辺りが、フランスのアルザス地方です。ドイツのワイン産地はだいたいこの真東ぐらいに位置する場所に有ります。

ドイツ全体で言うと、結構南側ですが、フランスで言うと最北の生産地域と一緒ですね。

そう、南側でもフランスではブドウ栽培の北限、つまり国全体はめっちゃ寒い地域です。(知ってるよ!って話だと思いますが)

寒い地域はブドウ栽培にとってどうなるか?と言う問題の答えは簡単です。

ブドウが完熟するのに非常に限られた条件なので、なかなかブドウが熟さないのが当たり前の生産地と言う事になります。

ですから、ドイツの場合、極端な斜面にブドウ畑を築いたり、川の近くに畑を築いたり(川面で反射する太陽光まで利用したい!)して何とかして熱量を確保しようとするのが、当たり前の様に行われています。

何度も言いますが、そうでもしないとブドウが熟さないからです!

ニューワールドのようにやたら安定した天候が続くわけでもないので、ヴィンテージによって天候が大幅に違う事もあり、ヴィンテージによる際も極めて大きいのも特徴です。

(ここからはちょっと想像も混ざっての解説です。)

そう、ヴィンテージよって

「今年のブドウはいいねぇ!すっごい熟してるよ」

「今年はダメだ。全然熟さない・・・」

なんて言う会話が日常茶飯事なはずです。

ですが、熟さないヴィンテージにもミクロ的には熟す畑なんかも出てきたりします。なんだか晴れが多かった地域とか、風向きのおかげで寒さにあたらないで済んだ。とかいい条件がスポットで発生したりした場合ですね。

こうなると農家のおじさんは

「うちの畑のブドウは、今年はどこよりも甘いんだ!」

なんて自慢する事間違いありません!オラが村のモンが1番はみんな自慢したいんです。

普段から糖度が上がり切らずに悩む事があるドイツのお国柄、甘いブドウが出来たら、それはもうめっちゃ凄いんです!

めっちゃ凄いブドウだから、みんな重宝する。

重宝されるから格が上がる。

こんな歴史的な背景が、今のドイツの格付けを確立させていきます。

プレディカーツヴァインの格付け

ドイツワインの格付けを解説

格付けの背景は何となく伝わったと思います。寒い国ならではの糖度が上がらない問題が、要するに糖度の高いブドウを珍重する背景になってるわけですね。

では、肝心のプレディカーツヴァインの中身を見ていきます。まずは格付けを箇条書きで

・カビネット
・シュペトレーゼ
・アウスレーゼ
・ベーレンアウスレーゼ
・アイスヴァイン
・トロッケンベーレンアウスレーゼ

なんて格付けになっています。ベーレンアウスレーゼ以上では甘口でしかワインが作れない決まりもあります。

この格付けは「糖度」を元に基準が定められています。

糖度の基準となる値を「エクスレ」と言う数値で基準値を出すのも独特です。もうエクスレがよくわかりません。

これは比重計を元にした値の算出の仕方なのです見方として

「お水の比重 = 1.000」

と言う事を頭に入れてください。それから、ブドウの果汁で比重を図ります。例えば

「果汁の比重 = 1.070」

だったといます。そうしたらこのブドウ果汁は「70エクスレ」と言う事になります。この比重計の1.070の後半部分がそうですね。

この値じゃめちゃくちゃわかりづらいので、日本人にもなじみのある糖度に変換しましょう。

1.000 = 糖度0
1.100 = 糖度23.6 (つまり100エクスレ)

が基準値です。大体アルコール発酵は「糖度の55%ぐらい」がアルコールになるので「100エクスレ」の果汁でワインを作ると糖を全部発酵したら「11.8%」ぐらいのアルコールになります。

この辺はビール造りを学ぶとかなりわかりやすくなる基準値ですね、興味があったらビール醸造キットでも買ってみてください。楽しく理解できます!

あ、お酒は造っちゃダメな日本の法律があるので、出来上がった物はちゃんとアルコール度数1%以下に希釈してください。

まぁ、このビール的基準を持ち出してる辺りが、ドイツっぽいですよね!やっぱりドイツの一番のお酒はあくまでも「ビール」だぞ!っと言う背景も考えておくと、ドイツワインへの理解が早いと思います。

では個別の格付けの基準値を見ていきましょう!

それからエスクレの単位である比重計で糖度を測ってみる実験をした記事がこちらです。興味あればご覧ください。

カビネット

最低エクスレが「67」に設定されています。と言う事は「23.6×0.67」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「15.8度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると8.6%にしかならない基準です。

ワイン用ブドウとしてはかなり低い糖度です。よく温かい地域のアルコール度数高いワインは「糖度26度」とかも超えてしまうので、相当甘くないのがわかります。

カビネットは辛口~半甘口までが作れる格付なので、辛口でアルコール12%とかの場合は相当の補糖、もしくは上のランクでも使えるブドウを混ぜる必要があります!

そう、上の格付けを降格させて使う事は可能です!この事は覚えておきましょう!

覚えなきゃいけないのですが、覚えたら覚えたで、「ん?じゃあどうやってラベルから中身の質を判断すんの?」って言う疑問に当たると思います。

そうそれがドイツの大問題です。これがわからないから売れてないんです!!

シュペトレーゼ

最低エクスレが「76」に設定されています。と言う事は「23.6×0.67」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「17.9度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると9.9%ぐらいですね。

まだまだ熟してませんね。ここも「辛口~半甘口」が認められる範囲です。

言葉自体は「遅摘み」を意味するらしく、糖度が上がらない中でも遅摘みして熟させて位はいるカテゴリーです。収穫解禁日から7日以上経過しないとブドウを摘んじゃいけない決まりがあるそうですよ。

フェノール系なんかはしっかり熟すはずですが、糖度の問題があるので、甘口の低アルコールか補糖して辛口しか道筋がありません。

アウスレーゼ

最低エクスレが「83」に設定されています。と言う事は「23.6×0.83」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「19.6度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると10.8%ぐらいですね。

まぁまぁ熟してきましたね!ここも「辛口~甘口」が認められる範囲です。

ここからは甘口から「半」が取れてますね。低アルコールにはなりますが、ちゃんとした甘口でも作れます。

最低アルコール度数が7%なのでその気になれば3.8%のアルコールを作る糖度を果汁に残しておけますからね。糖度にすると7度ぐらい。よく使う残糖量はリットルあたりに対して言うものなので100g中の7度はリットルにすれば70gぐらいになります。

リットル70gの残糖はかなり甘めですね!極甘一歩手前です。

ベーレンアウスレーゼ

最低エクスレが「110」に設定されています。と言う事は「23.6×1.1」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「26度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると14.3%ぐらいですね。

ここまでくると南の地域で言っても完熟レベルです!ここからは「甘口」のみの世界です。

しかし、こんなにドイツで糖度上がるんでしょうかね?

答えは「不可能ではない」です。リースリングなどは日照条件がいいとそれぐらいまでは上がります!アルザスなんかはよくそれぐらいまでいっちゃいます。

とは言え、毎年そんなに上がる物でもありませんので、ここら辺から「貴腐ブドウ」が混ざり始めます。

最低アルコール度数は5.5%と逆に下がるので、極甘口の生産も現れてきます。

トロッケンベーレンアウスレーゼ

アイスヴァインはちょっと特殊なので後に回してこちらから

最低エクスレが「150」に設定されています。と言う事は「23.6×1.5」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「35.4度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると19.5%ぐらいですね。

もはや普通のブドウでは到達しえない糖度になってきているので、貴腐ブドウの世界です!当然「甘口」しか作れないランクなのと

トロッケンベーレンアウスレーゼは「ソーテルヌ」「トカイ」と並び世界3大貴腐ワインの1つですからね。貴腐ワインだけのカテゴリーです!

最低アルコール度数5.5%なので仮に、5.5%で150エクスレだと「14%」分のアルコールになれる糖を残しているので残糖度が「25.5度」リットルに直すと「255g」の残糖と言う事になります。ワイン中の1/4が糖分。そりゃ甘いですよ。

アイスヴァイン

最低エクスレが「110」に設定されています。と言う事は「23.6×1.1」の計算式で糖度が割り出せるので糖度にすると「26度」ぐらいですね。潜在アルコール度数にすると14.3%ぐらいですね。

エクスレの値だけ見ればベーレンアウスレーゼと一緒ですね。何が違うのかは名前を見れば大体わかる通りです。

「アイスワイン」と言い換えちゃえば、要するに凍ったブドウから作ってるわけですね。

収穫しないで冬まで待って、凍ったところを絞ると、水分が凍っているので、全部絞り切れずに糖分だけ先に溶けだします。

みなさん経験がある「凍ったポカリスエットは最初やたら甘い」とい同じ現象を利用しているわけです。

貴腐香はないけど、しっかりと極甘口が生産可能な方法で、冬がクソ寒い地域限定の技です!ドイツとカナダぐらいしか、ほぼ生産がありません。(天然では)

まとめ

何となくわかりましたかね?

・糖分を誇らしくしていた時代背景
・分り辛い値(エクスレ)はビールが主流な国らしい方法

なんて事を理解していくと、意外とドイツワインの取っつき辛い難しさが、わかってくると思います。

実際に僕がそうでした。あ、これビールと同じじゃないあ?って思ってからは理解が早かったですよ!!

オススメはビールを作ってみる事です!!(ただし法律上ダメなので希釈してください。

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