ブルゴーニュ【中級】 コート・デュ・ニュイを解説 

ブルゴーニュの主役「コート・ドール」。その中でも北側にあり、ピノ・ノワールで造る赤ワインに特に名声が集まる地域が「コート・ド・ニュイ」です。

ここでは全体の特徴から、個別の有名な村単位でざっくりとした解説をしていきますよ!

あまり突っ込むとマニアック過ぎるので、初心者卒業に向けて、まずはこの辺からゆっくり学習するのがいいと思います。

もっとざっくり全体のブルゴーニュから学びたい方はこちらの初級編から始めるといいと思いますよ。

コート・ド・ニュイ Cote-de-Nuits 全体

【コート・ド・ニュイ】はブルゴーニュの「コート・ドール」(Cote d’Or)の北側にある地域で、おそらくこの世で最もマニアックなワイン産地です。

産地の気候と地形など

地図で見ると大きそうにも見えますが、南北に20km、横幅に至っては数百メートルしかないとても小さな地域です。

温和(moderate Climate)な大陸性気候で、昼間と夜では温度差が割と大きい場所。この部分はブドウ栽培においてとても重要な要素です。夜間に気温が下がるとブドウの成熟がゆっくり進むんです。それが何故いいかは、いずれ別に解説します。

珍しい部分は大陸性気候にしては雨も湿気も意外とある。ところでしょうか。大陸性気候にしては病気との戦いが激しい地域でもあります。

標高はほとんど300-400mぐらいの場所にあり、全体的にちょっと高い場所にあるので、夏でも気温が30℃に届かない日が多いです。稀に40℃とか行く熱波が来る事もあり、最近は温暖化の影響で稀でもなく年に1回ぐらいは来るようになってますね。それでも夜間は20℃を下回るぐらい寒くなりますし、普通なら15℃以下まで落ちる事も珍しくありません。。

地図で見ると縦長なのには訳があり、平面でわかり辛いのですが、地図で言う左側は小高い丘になっていて、ブドウ畑があるのはその小高い丘の斜面に当たる場所です。

ほぼ全面的に東向き斜面

と言うのが最大の特徴で、「斜面なので水はけがいい」「東向きなので朝日から、夕方までずっと日がが当たる」のがブドウ栽培において、有効な部分です。

東向きの朝日は朝露で濡れたブドウを乾かしてくれるので、カビ系の病気とかが出づらくなる部分でもとても有効です!

栽培されるブドウ品種は「ピノ・ノワール」がメインで、「シャルドネ」の生産も多少あります。

シャルドネはほとんどが「オート・コート・ド・ニュイ」と言うカテゴリーで生産されるので、基本的には超高級品が、ほぼありません。(ちらっとあります)

畑の格付け

コート・ド・ニュイと言うかコート・ドールには格付

それに対して、ピノ・ノワールは格下から、最上級(グラン・クリュ)までもの凄く広い価格帯で生産されています!日本円で

1,000円台 ~ 2,000,000円台

が流通価格帯です。頭おかしいですよね。

これには格付も大きく影響があり、この地域の格付けは初級でも解説していますが、

・地域名(rigion)
・村名(village)
・プルミエ・クリュ(1er Cru)
・グラン・クリュ(Grand Cru)

下に行くほど格上です。

村名が名乗れるAOPは8つあり

・マルサネ(Marsannay)
・フィサン(Fixin)

・ジュヴレ・シャンベルタン
・モレ・サン・ドニ
・シャンボール・ミュジニ
・ヴージョ
・ヴォーヌ・ロマネ
・ニュイ・サン・ジョルジュ

が一覧ですね。中級なので個別に解説していこうと思います。

村名AOPを個別に解説

8つの村々を紹介していきます!マルサネとフィサン以外は名前も長いじゃないですか?それってその村の最も優秀な畑から村の名前を取ってるらかなんですよ!

グランクリュ一覧表で赤字にしてあるのが、村名の由来となった畑です。

例えばヴォーヌ・ロマネはヴォーヌ村だったんですけど、「ロマネ・コンティ」が最も優秀だったのでロマネを拝借して「ヴォーヌ + ロマネ =ヴォーヌ・ロマネ」になっています。

マルサネ(Marsannay)

こことフィサンはコート・ド・ニュイの他の村に比べると明らかに格下扱いされている村なので、上の表ではあえて1つ改行を入れて離してあります。マルサネはグラン・クリュはおろかプルミエ・クリュも持たない村なので、さらに格下っぽいです。

一番北側なので、ちょっとだけ涼しいかと言うと、言うほど距離もないので気温的な面では大した違いはない。

中級なので詳しく触れませんが、「土壌を構成する地層」も他の格上村名と同じなのに。もったいない。

しかもプルミエ・クリュもないので、全部村名です。

斜面の中腹とか他の村ならプルミエ・クリュ確実だろ!みたいな部分まで村名なので結構お買い得なワインが眠るAOPでもあります。

それでも飛びぬけて有名な畑はなく、どうしても地味ですね。地味だけどお買い得!ニュイを今から味わいたいなら、ここで練習してもいいぐらいです。(お買い得って言って優秀な生産者は4000円はしますよ)

味わい的には「ジュヴレ・シャンベルタン」みたいに男性的と言われるニュイとしては力強い系の味わいが多いです。

唯一目立つのは「ロゼ」ワインが作れる事です。ブルゴーニュ全体で見渡してもかなりレアです。赤、白、ロゼ全部作れるのはここだけ!!

ブルゴーニュ産のロゼなのでお値段はそこそこしちゃうので、なかなか口にする機会はないかもしれません。ピノで造りますからチャーミングですよ。ロゼとしては高いけど。

フィサン(Fixin)

マルサネの南隣はフィサンです。

ここもグラン・クリュがないせいなのか格下に見られがちです。ジュヴレ・シャンベルタンの隣村でもあり、ここにはプルミエ・クリュもあります。

地層的にも同じ地層帯なので、もうちょっと評価されてもいいような気がしますが、飛びぬけて有名なプルミエ・クリュも無いのでブランド価値が付いてない感じがします。

ブランド価値はないかもしれませんが、飲む方からしてみたらお買い得なわけですよ。マルサネと同じくお買い得AOPです!

味わい的にも「ジュブレ・シャンベルタン」のような男性的なピノと言われる方向性で、赤黒の果実が入り混じった雰囲気があります。

ジュヴレ・シャンベルタン(Gevrey-Chambertin)

ここから銘醸地って感じの村が続きます。その中でも一番北にあるのがここです。

グラン・クリュが沢山あり、一応一覧で紹介すると

ここがNO.1
シャンベルタン
・シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ

クロ・ド・ベーズの北側
・リュショット・シャンベルタン
・マジ・シャンベルタン

クロ・ド・ベーズの斜面下
・シャペル・シャンベルタン
・グリオット・シャンベルタン

シャンベルタンの斜面下
・シャルム・シャンベルタン
シャンベルタンの真南
・ラトリシエール・シャンベルタン
シャルムの真南(シャルム表記も可能)
・マゾワイエール・シャンベルタン

こんな感じです。多すぎて最初は全く覚えられられないので、中でも格上のシャンベルタンとクロ・ド・ベーズだけ覚えましょうかね。クロ・ド・ベーズは「シャンベルタン」表記もしていいのでほぼ同格とみなされます。

プルミエ・クリュでは

・クロ・サン・ジャック

が少し飛びぬけて評価されています。価格的にも実質グランクリュですね。

村全体の傾向として「男性的」と言われる力強い味わいのワインが特徴的です。

最近では「ドメーヌ・フーリエ」を筆頭に、力強い系ではなくエレガントなワインを造る生産者も出てきているので、ステレオタイプな味わいばかり追っていてもわからなくなってはきています。

ナポレオンが戦争の時には必ずこの「シャンベルタン」を戦地にまで運ばせた逸話の人気もあり、コート・ド・ニュイでも1、2を争う人気産地です。

ワインの営業マンとしての経験則として、日本では村名ワインは「ヴォーヌ・ロマネ」よりも人気がある気がします。(価格の問題もあるとは思いますが)

よく売れます(笑)

モレ・サン・ドニ(Morey-Saint-Denis)

ジュヴレの真南にある村で、グラン・クリュも5つあります。

まずグラン・クリュ一覧は

・クロ・ド・ラ・ロシュ
クロ・サン・ドニ
・クロ・デ・ランブレイ(実質モノポール)
・クロ・ド・タール(モノポール)
・ボンヌ・マール

一番優秀な畑から村の名前を取るはずですが、現在一番評価が高いのは

「クロ・ド・ラ・ロシュ」

でほぼ間違いありません。「ランブレイ」と「タール」はほぼ1つの生産者しか作っていない、モノポールなので(ランブレイは正確にはモノポールではない)評価し辛い面もありますが。

ボンヌ・マールもシャンボール・ミュジニからすこーしだけはみ出してる畑なので、モレ・サン・ドニのグランクリュってイメージではないですね。

プルミエ・クリュで飛びぬけた評価の畑は特になし。

村全体の傾向として、男性的な力強い系の味わい。もう完全にイメージなんですけど、ちょっと野暮ったい雰囲気がワインからも感じられる気がしちゃう村です。

若いうちに硬いと言うか、花開かないと言うか。グランクリュ5つもあるし、優秀な生産者もめちゃくちゃ多いのに、なぜか人気が全然出ない不思議村です。

一昔前と違って、クラシックな作りをする人も減ってきているので、結構掘り出し物は見つかります!メジャー村名漁るならここです!!

シャンボール・ミュジニ(Chambolle-Musigny)

小さい村ですが、日本のマニアには1番人気な気がします。ジュヴレは大衆人気1位。マニアはシャンボールが1位。そんなイメージがあるのは、この村のワインが「エレガント」だと言われるからでしょう。

まずはグラン・クリュから

・ボンヌ・マール
ミュジニ

プルミエ・クリュだけど実質グラン・クリュ
・レ・ザムルーズ

グランクリュの枠内に書く唯一のプルミエ・クリュと言えるのが「レ・ザムルーズ」です。「アムルーズだ!」とか言う人もいますが、フランス語の都合もあるので、発音的にはフランス人からしてみれば、どっちも不正解です。不毛な議論はやめましょう。」

価格的にもボンヌ・マールより高額だったりもするので間違いなくグラン・クリュ扱いなのはここぐらいです。(モノポールにはたまに高いのありますが)

この村の最大の特徴は、北側に関してはマルサネから続く男性的なイメージのワインを生み出すのに、南側は急に洗練されてエレガントになる事です。

航空写真で見るとわかり易いのですが、「アモン通り」と言う所がちょうど渓谷になっています。その南北が高くなってるわけですね。

ブルゴーニュはこう言った渓谷が挟まる部分で、北側、南側の土壌構成がちょっと変わったりする事があります。

その最も典型的な例が、このシャンボール・ミュジニです。

なので、北側の「ボンヌ・マール」は男性的なワインなのに、南側の「ミュジニ」はエレガントな女性的なワイン。「レ・ザムルーズ」も南側なので女性的と言われます。

その他の畑でもやはり渓谷の「北か南か」で味わいが異なってくるので、特にプルミエ以上のワインを飲む時には気にしてみると面白い土地です!

あと、一つだけ抑えるべきことはグラン・クリュの「ミュジニ」は白ワインの生産も許されています!かなりの希少品でお値段ももはや買えません。(20万越えるよ)

ヴージョ(Vougeot)

他の村と違ってちょっと特殊なのはこのAOPの大部分はグランクリュです。

・クロ・ド・ヴージョ

が唯一のグラン・クリュですが、ほとんどクロ・ド・ヴージョです。

クロ = 石垣

の意味なので、直訳すれば「ヴージョの石垣」。この村のシンボルであるヴージョ城を拠点にしていた修道士達が畑の石なんかをどけて積み上げて作った1つの畑がでかいんです。

伝統的に全部同じ畑としてみなされていたので、斜面の上の方はシャンボールのグラン・クリュ「ミュジニ」と隣接する超高区画ですが、斜面下部は水捌けも悪く、村名、もしくは村名の実力も発揮できないとすら言われるぐらい、よくわからないグラン・クリュになっています。

超上級者たちは、それぞれの生産者が斜面のどこを所有しているのかまでして選ぶ特殊な場所なので、中級者は手を出さないのが賢明だと思います!

味わい的には、いい所だと女性的でエレガントなワインを造りますから、掘り出し物探す勇気があるなら手出ししましょう!

ヴォーヌ・ロマネ(Vosne-Romanee)

ブルゴーニュにおいて、いや世界中で最も価値の村です。

村名ワインの売れ行きで言うと人気3位なのは、値段が高いからです。同じ値段なら1位間違いないでしょうね。

グランクリュの一覧を先にあげましょう。そうそうたる顔ぶれです。

・エシェゾー
・グラン・エシェゾー

・ロマネ・サン・ヴィヴァン
・リシュブール
・ラ・ロマネ(モノポール)
・ラ・グラン・リュ(モノポール)
ロマネ・コンティ(モノポール)
・ラ・ターシュ(モノポール)

エシェゾー系を離しているのは、その2つはフラン・エシェゾー村だからですね。フラン・エシェゾー村のワインはヴォーヌ・ロマネを名乗ります。

なんといっても「ロマネ・コンティ」が筆頭です。世界で最もお高いワインとしても有名ですね。

次いで高いのは「ラ・ターシュ」こちらは「ロマネ・コンティ」と同じくDRC社が所有しています。同じ会社の2番目なので「ロマネ・コンティ」の弟的な存在。

面積が「ロマネ・コンティ」の3倍強あるので、ここまでは飲めるかもしれません。

ロマネ・コンティは、ワイン追ってりゃいつか飲めると。と10年ぐらい前まで思ってましたが、よっぽどのお金持ちと知り合いにでもならないと飲めなそうです。値上がりえげつなくて、そこそこの車買えます(200万越え)

プルミエ・クリュでも

・クロ・パラントゥー

は格別な評価です。もともと神様「アンリ・ジャイエ」が作っていて神格化したプルミエ・クリュで現在はアンリ・ジャイエの親分「メオ・カミュゼ」と弟子の「エマニュエル・ルジャ」が作っています。お値段クソ高いですよ。

さて、この村のワインの特徴ですが、基本的にはシャンボールから続いてくる女性的なエレガントワインです。ヴォーヌ・ロマネに入るとその女性的な中に明らかに「土」っぽいニュアンスが加わってきます。不思議ですよね。

その雰囲気がワインにぐっと深みを持たせて、高級感にもつながっていると思いますね。

村名ワインでも他に比べるとお値段が頭1つ高いので、もはや庶民の飲み物では全くありません。若い人でワイン勉強したい場合はどうすればいいのか?もはや不憫でもあります。

ニュイ・サン・ジョルジュ(Nuits-Saint-Georges)

ヴォーヌ・ロマネの真南にあるのがこのニュイ・サンジョルジュです。

結構縦にも長くて、この辺りでは一番大きな「街」があります。ほかの村は完全に農村ですけど、ここだけ栄えてます(ゆーても、田舎ですけどね)

ニュイ・サン・ジョルジュは主要な村名ワインの産地ですが、グラン・クリュは1つもありません!

最も評価の高いプルミエ・クリュ

レ・サン・ジョルジュ

がこの村の由来となった畑で、グラン・クリュの品質にあると言われていますが、歴史的にグラン・クリュ決める時に

「オラのとこだけ特別扱いされるのは気が引けるべ」

と言う事でグラン・クリュにならなかった歴史があります。いまはグラン・クリュに昇格させようと言う運動がありますが、日本の行政並みに遅いし頭固いので、ほぼ実現しないと思われます。

ここには「街」があると言う話をしましたよね?その街を挟んで北と南で少し味わいが変わってきます。

シャンボール・ミュジニと一緒で、この街のところに渓谷があり、そこの北と南で若干土壌構成が変わるので味わいにも変化が出ます。

北側はヴォーヌ・ロマネと同じで土っぽいニュアンスのあるエレガントな味わい。

それに対して南側はそれよりかずっと男性的で色合いも濃くなります。土っぽさは相変わらず携えていて、個人的にはキノコの香りが混じるイメージがあります。

南側にプリモー・プリセ村(ニュイ・サン・ジョルジュを名乗れる)に入るとよりその傾向が強い気がしています。

お値段的には全然お高く、同じグランクリュのない「マルサネ」と「フィサン」の様ではないですが、それでもプルミエがそこそこお安く手に入るので、寝かせて置きたい!ってワインはそれなりにお買い得に手に入ります。

コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ(Cote de Nuits-Villages)

ヴォーヌ・ロマネとニュイ・サン・ジョルジュの小さい山を越えた西側に広がるエリアが「コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ」です。

ここは村名を名乗れる村はありませんが、小さな村の集合体で、著名な生産者も畑を結構持っています!

東向きとは限らず、いろんな向きの畑があるので評価がまとまらないのもありますが、広域で指定されていて、価格的にも最も隠したな「ブルゴーニュ・ルージュ」寄りでお買い得な場所です!

ニュイのエレガントさをお手軽に味わうには最も優秀な場所だと思います。

しかし、それでも3000円はするので世間的には高級ワインの部類でしょう。

まとめ

ざーっと、村の特徴を中心に解説してきました。

「これで中級?」って思った方はもうすでに上級者です。ブルゴーニュはマニアックなので上級者、もしくは超上級者が結構います。

そしてちょっと小難しい話をしがちなので、初心者が足を踏み入れるのに躊躇する世界でもあります。

そういう意味でも、これで中級ぐらいでないと困ります

他のどこの地域に「畑単位」で特徴を語る地域がありますか?ボルドーだって村単位で語れば確実に中級です。畑単位は上級なんですよ。

なので安心してこの辺を中級だと思ってください!