このページはオーストラリアの中でも「サウス・イースト・オーストラリア地区」に付いてだけ、わかりやすく解説しているページです。
オーストラリア全土盤が気になる方は、こちらをどうぞ。
・サウス・イースト・オーストラリア ワインの概要
・サウス・イースト・オーストラリア 主要な産地
・サウス・イースト・オーストラリア オススメ生産者
の3点に付いて解説をしていきます!
1つの地区なのにバカでかいのと、教科書を開くと、頭が痛くなるぐらい地名が出てくるので大変な地域ですね。
頑張りましょう!(←自分にも言い聞かせてます)
サウス・イースト・オーストラリアとは?
サウス・イースト・オーストラリア(以下「SEA」にします)はオーストラリアの大陸で言うと右下の方が大体全部じゃね?
「えっ?これ??」と言うぐらいでーーっかい地域です。面積を計算したわけではないですが、イタリア全土よりたぶん広いんじゃないですかね?
「シドニー ~ アデレード」の距離とイタリアの長靴の長さが同じぐらいですから・・・
まぁ、とにかくでっかい地域だと言う事がわかります。とは言え、だいたい優秀な産地は南の方に集中しているのも、地図に色分けを見たらわかるところではありますね。
基本的には緯度の問題もあり、暑い~温暖~温和(HOT ~ Warm ~ Moderate)
の気候帯全部ありますが、前半の2つの方が圧倒的に多い地域になります。
オーストラリア全土編でもお伝えしていますが、基本的には地中海性気候の様な場所が多く夏場の雨が絶望的に足りません!
なので、灌漑しないとブドウ栽培が難しいですが、灌漑用水が足りない事も、近年は問題になりつつあります。
余りにドライな気候の為、しばしば起こる山火事も大問題で直近でも2019年の暮れぐらいには史上最大規模の山火事に悩んでいたのもこの地区です。
アデレード辺りの葡萄畑は結構悲惨な被害が出ているという話もニュースや生産者のSNSなどで見聞きしたので、今後の産地運営にも心配が募りますね。
地区別の解説
このでっかいSEAは、にある内陸の方
・リヴァーランド地区(南オーストラリア州)
・マレー・ダーリング地区(ヴィクトリア州)
・リヴェリナ地区(ニュー・サウスウェールズ州)
の3つは基本的に真っ平な荒野を灌漑して大量生産ワインを作る地域なので、割愛します。
上の地図で言うと、一番でっかい紫地帯がリヴェリナで、そこから左がマレー・ダーリング、その左がリヴァーランドです。全部マレー川と言う川沿いですね。これが灌漑用水の源です。
さー、実はこれででっかい産地の大部分が削れました!www
が、オーストラリアのレベルの高いワインたちは残りの地域で大体生産されているので、州ごとに解説していきますよ!
南オーストラリア州(South Australia)
アデレードを州都とする州で、その州と周辺にブドウ産地が広がっている、オーストラリアワインの聖地的な場所です。
オーストラリアにしては結構起伏がある方で、その斜面を利用している場所こそが、オーストラリアワインの銘醸地と言って良い場所になります。
バロッサ・バレー(Barossa Valley)
オーストラリアで最も名声を集めていて、最も高価なワインがあるのが、このバロッサ・ヴァレーで間違いありません。
温暖な気候で、むかーしからシラーズが植えられており樹齢100年を超すような「オールド・ブッシュ・バイン」と言われる古木が存在していたりします。
最高峰のワインは、間違いなくこの国でNo.1のワイン「ペンフォールズ」のグランジもこの地で造られるシラーズを主体に作られています!
ここはいわゆるオーストラリア・シラーズの聖地なので、がっつい濃い物が中心の生産でしたが、こう言った産地でも、近年はエレガント化を求めるようになってきている感は否めないので、今後は主役をタスマニア島に取られてしまうかもしれません。
イーデン・ヴァレー(Eden Valley)
バロッサ・ヴァレーの真隣の東側にある産地。上のgoogleMAPで見ると、真ん中に置いた山「Kaiserstuhl」の西側はバロッサ 東側はイーデン
地図で見ると、近そうだし、平坦そうですがこのピンを置いた山の影響なのか、イーデン・ヴァレーは明らかにバロッサより涼しい気候になります。
英語の教科書ではバロッサは「Warm Climate」なのにイーデンは「Moderate Climate」です。たった一つお山があるだけで、こうも気候が変わるのが、ワイン産地の面白い所でもあります。
そしてこちらではメインとなる品種もかわり「リースリング」が主役の地域です!フランスで言えば、ローヌの隣がアルザスなわけです。にわかには信じられませんが、ここのリースリングはむしろアルザスよりも清涼感があります!
ライムやグレープフルーツ系の柑橘が香るんですよね。アルザスはそれに比べると、果肉が詰まったモモみたいな香りと味わいになるので、夏になると僕の食種がよく伸びるのが、この辺りのリースリングになります。大好きです。はい。
・バロッサ地域
「バロッサ・ヴァレー」「イーデン・ヴァレー」の葡萄を混ぜても「バロッサ」(バロッサ・ヴァレーではない)と名乗っていいルールがあるので、もしバロッサ・ヴァレーのワインが飲みたいならちょっと注意しなくてはいけません!!
クレア・ヴァレー (Clare Valley)
ここもリースリングが中心の地域である。ここは標高がそこそこあり400mぐらい。長くなるのでこれぐらい。ここのリースリングも旨い物が多いです!
アデレイド・ヒルズ (Adelaide Hills)
ここも標高が高めで400mぐらいある。ソーヴィニヨン・ブランが一番生産されている。
2019年の山火事で結構被害が大きかったらしい。と言う話をどっかの海外ニュースで見たが、ソース元を忘れてしまった。
ピノ・ノワールもいくらか作られているが1度飲んだ事あるけど、結構「南の産地です!」って主張してきた。
クーナワラ(Coonawarra)
ここはテラロッサ(Terra Rossa)と言う土壌が有名な地区です。とにかく赤い土が多い地域と言う事です。
赤土のイメージはテニスの全仏オープンのクレーコートを思い出していただければ、だいたいあんな色です。
アデレード周辺の産地からはだいぶ遠く、400kmも離れているのと南側なので、アデレード辺りよりも涼しいです。国際品種系の赤ワインが主体の産地。
ヴィクトリア州 Vistoria
州都がメルボルンなオーストラリア本土ではもっとも南側にある産地です。
南側なので、本来わりと涼しい産地ですが近年、温暖化の影響が結構顕著になってきて困ってきている地域でもあります。
2月(真夏)に開催される全豪オープンテニスで気温40度なんてニュースを数年の1度は見るので、相当苦労しているのかもしれません。40℃だと葡萄枯れます。
とは言え、基本的には夏でも30℃を超える方が珍しい地域ではあるみたいです。
ヤラ・ヴァレー (Yalla Valley)
メルボルンのすぐ北東に位置する地区。「Cool Climate」ぐらいの記述も見るので、寒いんでしょう。ピノ・ノワールの産地でもありますしね。
なんか投げやりな言い方なのは、最近の温暖化の影響があるので何とも言いきれないからです。が、まぁせいぜい「Moderate Climate」で許してあげる事にしましょう。
ピノが育ち、スパークリングも生産する産地なのできちっと酸が残せます。でも、ピノは飲むと暖かいですね。果実感強いの飲みたい時、わかりやすいの飲みたい時には手を出しやすい産地だと思います
モーニングトン半島(Mronington Peninsula)
ジーロング (Geelong)
個人的にはペニンシュラが付いてると格好いいな。と思う響きです。ほんとうにどうでもいい事ですが。
ここは、隣り合った2つの地区で、メルボルン湾を囲むようにしている場所です共に冷たい海の影響が顕著に出る所で、1年を通して涼しい産地ただ海洋の影響は気温だけでなく、開花時期に雨が降りやすい。
なのでニューワールドのワインにしては珍しく、ヴィンテージでの差異が出やすい、と言う珍しい地区だと言う事を覚えておきましょう。
ピノ・ノワールや冷涼シャルドネの有望な産地で、今後の展開が期待されます。
ヒースコート (Heathcote)
ゴールバーン・ヴァレー (Goulburn Valley)
メルボルンからだいぶ北に上がり、ニューサウスウェールズ州との堺位に隣り合ってある地区がこの2つです。
ここら辺は海の影響ではなく、標高がそれなりにあるので、そちらの影響で、涼しさの恩恵を受けますが全体的にはWarm ~ Moderate ぐらいの気候になります。
サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョ、マルサンヌなど、南の産地だなぁ。と言うラインナップで葡萄を増やしているらしいので、温和は嘘だろ。ぐらいに思ってます。
ニュー・サウスウェールズ州(New South Wales)
歴史はもっとも長い産地ですが、近年まで目立った産地はハンター・ヴァレーだけでした。
ここ最近、山の方を開拓しており涼しい産地としてオレンジ地区、マッジー地区、カウラ地区などが台頭してきているらしいです。
ハンター・ヴァレー(Hunter Valley)
この州を代表する産地はここしかありません!
気候は非常に暖かい「Hot Climate」と呼ばれる、ワイン産地としては最高クラスの暑い地区です!
ただ、夏場は雲が出たり、海洋からの涼しい風があるので、燃えるような暑さになりはしないらしく、葡萄が死滅する事はありません。燃えるような暑さは、メルボルン周辺の方が突発的に問題になってます。
また海よりなので湿気があり、病気に悩まされるというニューワールドらしくない一面もあります。
がっつり系シラーが赤ワイン代表ですが、ここはセミヨンが独特の真価を遂げている珍しい産地です。
俗に「ハンター・セミヨン」と言われるワインはあえて、早摘みして酸を残して収穫。酸素に触れないように、慎重に醸造をすると低アルコールで、まったく味気ないワインが出来上がるみたいです。
その味気ないワインが、数年の熟成を経ると、ハチミツの様な香りをまとって大変身する。そんなワインらしいので興味津々ですが、飲んだことないですが、気になってしょうがない1本です。
熟成しなくちゃいけないけど、勉強的にはフレッシュなのも飲みたい。たとえ美味しくないとわかっていても・・・
オレンジ地区 (orange)
マッジー地区 (mudgee)
カウラ地区 (cowra)
最近台頭してきているらしい、3地域です。
標高も1000mぐらいあるところもあるらしく、冷涼産地として、間違いなくこれから台頭してくる地域です。この辺りは山がオーストラリアとしては高いので、これ以外の産地も今後開拓されてくるのではないでしょうか?
さて、写真は今年の初め位に家で飲んだワインですが「ローガン・ワインズ」と言うオレンジ地区のワインです。
とっても爽やかでライチの風味もするけど、柑橘系が優勢なキリっとした仕上がりで、かなり好みの味でした!後程オススメ生産者に入れてしまします!!
オススメ生産者
ペンフォールズ
名実ともに、オーストラリアのNo.1に君臨するのが間違いなく、バロッサ・ヴァレーにある、このペンフォールズです!
トップキュヴェである、「グランジ」はオーストラリアの中でもとびぬけた存在で、そのお値段も飛びぬけていてボルドーの5大シャトーに比肩するほどです。
昔1度だけ飲んだ事ありますが、がっつり系シラーでしたが近年はどうなんでしょうかね?相変わらず、評論家の評価は無茶苦茶高いのでおそらくは昔ほど、がっつりではなくエレガント化してると思います。
そんな最高峰さんですが、デイリーレンジからちゃんとラインナップがありますから、まずはオーストラリアのベンチマークとして知っておくべき存在です。
ヤウマ
ここから2件、現代オーストラリアの自然派ワイン会からご紹介。
この世界の現トップと言うか巨匠は「ルーシーマルゴー」だと思いますがルーシーマルゴーのワインだと攻めすぎてて、僕は正直苦手な物も多い。
ヤウマも間違いなく、自然派オーストラリアではトップクラスの人気と実力を誇る生産者です。
ルーシーマルゴーと違って、「うわっ!これちょっときついな」なんて事に出会ったことはありません。
液体が濁っている事なんて当たり前!な状態ですが目立ったオフフレーバーもなく、安心してそのピュアな果実感を楽しめる、と言う点では、オーストラリア自然派を飲んでみたい人は真っ先にヤウマを飲むべきだと、極度の自然派苦手派の僕は思います。
場所はマクラーレン・ヴェールと言うアデレードの街の南側割と暖かいワインが多い産地ですが、ヤウマのワインからそれを感じる事はまずないです!不思議です。
最近ちょっと値段が上がり過ぎてますね。でももっと上がるかもしれません。悩ましい。
ウィリアム・ダウニー
もう1件、自然派オーストラリアを紹介するなら、僕はこのウィリアム・ダウニーです。
ちょっとトキメクひと言を付けると、ブルゴーニュで修業していた時代がありフーリエとユベール・リニエで働いていたそうですよ。
ほらブルゴーニュファンの目がキラキラしてます。自然派ピノ・ノワールを飲みたいなら、彼をまず飲んでおきたいところです!ちょっとお値段も張りますがね。その分、幸せ感もありますよ!
場所は、メルボルンの東側、海沿いの街ギプスランドと言う場所にあります。他にもヤラ・ヴァレー、モーニントン・ペニンシュラからの買い葡萄ワインも作っていましたが、こちらは今後は作らないそうな。
もう1点気になる点があります。そう、知っている人にはお馴染みの、彼の風貌です。
どこ目指してるんでしょうね?
「ハリー・ポッター」シリーズの出演ならもう、続編ないだろうから難しいと思いますが。どこまでも自然派な感じが1度見たら忘れられません。
こう言う覚えやすいアイコンは、ワインを学ぶ上でも意外と重要です!
味も忘れなかったりしますから!
ローガン・ワインズ Logan Wines
最近飲んで、とても気に入っている生産者がこのローガン・ワインズ
ニューサウスウェールズ州の期待の新産地「オレンジ」にあるワイナリーです。標高が標高が高くて、その為に冷涼な気候が得られるこの産地は、これからオーストラリアで間違いなく台頭してくる産地です。
僕が飲んだゲヴェルツもライチもあるが、柑橘系の香りもあるなんならアルザスよりも冷涼感ある味わいでしたよ!複雑さも兼ね備えた、産地の魅力を十分に感じさせてくれたうえで1000円台中盤から買えちゃう!と言う、まだまだ無名な新産地の魅力が味わいやすい設定になっています!
10年後には3000円ぐらいになってて、オレンジ地区を代表する!みたいな状態になっているんではないかなぁ?なんて思って飲むと、とっても楽しめると思います。
まとめ
とーってもデカい地域なので、ここ1つで1つの国を覚えるより大変です。
が、デカいだけに多様性も凄いので、今後聞いた事もない産地が突如として、台頭してくるかもしれません!
時代は変化していて、いつまでも濃い味シラーズがオーストラリアの味わいだと思っていると、完全に取り残されてしまします。
特にソムリエ免許を持っている人なんかはこういった部分の情報のアップデートを怠ってはいけません!!
バッジが泣きます!