【初心者向け】スパークリングワインの作り方

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誰もが知ってるシャンパーニュをはじめ、パーティーなどでは乾杯の主役にもなれる、親しんだスパークリングワインの作り方を解説しています。

・スパークリングワインのブドウに求められる事
・スパークリングワインの製法(求められる要素)
・それぞれの製法の解説

の順で解説をしていきます。少し学術的になりますが、細かい解説はまた中級編移行にまわすので、ここではこんな方法があるんだ!と言う事を学びましょう。

スパークリングワインのブドウに求められる事

【初級編】スパークリングワインの作り方

スパークリングワインは特に高級な物にになると、冷涼な産地でないと、スパークリングワインが美味しくなるブドウが作れません。

これは糖分と酸度との兼ね合いが重要なのですが、その理由を解説しましょう。

・糖分

スパークリングワインは途中で、何回かワインに添加物を加えて作る事がほとんどです。特に最初の方の工程で、「炭酸ガス」を酵母によって作る場合は、ワインを作った後に炭酸ガスを生成するための「糖分」を添加することになります。

この添加した「糖分」は炭酸ガスも作りますが、同時にアルコールも生成します。一般的にはその工程で1.2~1.3%のアルコール度数上昇がある為、完成品をアルコール度数「12%」ぐらいに収めたい場合は、ワインを作る時点ではアルコール度数が「10.5%」ぐらいでないと困ります。

冷涼でない産地でワインを作ると、糖度が高くなるため12~14%ぐらいの間のアルコール度数でワインが完成する事がほとんどです。これでスパークリングワインを作ると、13~15%と高アルコールなスパークリングワインになってしまいますので、スパークリングに求められる切れの良さも落ちてしまいます。

なので、糖分が上がりにくい産地(つまり涼しい)か早摘みしてしまう!と言う2つの選択肢があります。

が、早摘みの場合は熟していないブドウと言う事になりますので、青っぽい香りがワインに付く事がほとんどです。安いスパークリングワインは暖かい地域で大量生産して、かつ早摘みをしているので、香りが青っぽいんですね。

糖分と酸度は常に反比例する関係にあるので、次に酸度の解説です。

・酸度

酸度はブドウの生育期間で、最初の方から糖度の上昇と反比例して、下降してきます。成熟期には糖度の上昇が一気に来るのですが、温かい地域ほど、本当に一気に糖度が上昇してくるので、朝と夕方ではもう甘さが全然違う!なんて言う勢いです。これが冷涼な地域になると、それよりかは緩やかな上昇を見せてくれます。

糖度の上昇に対して、アロマの要素となるフェノール系の物質の成熟もしなくては美味しいブドウにならないのですが、温かい地域では糖度の上昇スピードよりもフェノールの成熟が遅くなるので、糖度は上がってんだけど、完熟していない!なんて言うブドウになりがちです。

ですが、ゆっくり糖度が上がる冷涼地では糖度とフェノールの成熟がちょうといい感じに揃ってきますし、完熟しても糖度は潜在アルコール度数が10.5%ぐらいで止まってくれます。糖度がそこまで上がらないと言う事は、同時に酸もそこまで下がりませんので完熟した糖度低めで酸度高めと言う理想的なブドウが収穫できます。

・つまり

スパークリングワインの理想の産地は冷涼な場所と言う事になります。シャンパーニュなんかはフランスでもブドウ栽培の北限ですから、まさに適地になるわけです。

そして、安いスパークリングワインはたいていブドウが大量にとれる温暖な地で作られていますが、冷涼地と違い、フェノールの熟成を待っているとアルコール度数が上がってしまうので「早摘み」でそのアルコール度数を下げますから、青臭くなってしまうと言うわけです。

スパークリングワインの製法

【初級編】スパークリングワインの作り方

スパークリングワインの製法はいくつかあるのですが、代表的なところを5つ解説いたします。名前だけ先にあげると

・シャンパーニュ方式(クラシック方式)
・トランスファー方式
・タンク方式
・メトード・アンセストラル方式&アスティ方式
・炭酸ガス注入

まずはシャンパーニュ方式をそこそこ詳しく見ます。それを見ると原理がわかるので、炭酸ガス注入法以外の方法も理解が早くなるからです。

シャンパーニュ方式

高級なスパークリングワインはほとんどこの方式を使って作る!と言っても過言ではない方式で、ほかにも呼び名が沢山あります。「メトード・クラシック」「トラディッショナル・メソッド」などと呼ばれる事もあります。いずれにしてもシャンパーニュで伝統的な方式として使われていた事から付いた名前ですね。

これを細かく解説するとそれだけで、中級編と上級編が出来るほど工程が多いので、初級編は簡潔に解説します。

・ワイン作る
・出来たワインに糖分と酵母入れる
・酵母の残骸を取り除く
・減った分の穴埋めでリキュールを加える

ワインを作る

まずはワインを作ります。ロゼはこの際無視して解説すると、白ワインを作るわけですね。白ワイン細かい解説が見たい方はこちらの白ワインの作り方をご覧ください。

普通のワインと最大の違いは、出来上がるワインのアルコール度数がやや低いけど、残糖分がこの時点ではなくなってることです。

「もうこれ以上発酵できない!だって糖分ないんだもん。ぴえん」by酵母

な状態になっています。

出来上がったワインはこれから瓶内2次発酵に行くわけですが、一部は今後の為に取っておきます!スパークリングワインの多くはノンヴィンテージですよね?

これは冷涼な産地の宿命なのですが、毎年ブドウが完熟するとは限りません。足りない要素(ボディとか香りとか)を補うためや、収穫量も安定しないので量そのものの確保も目的です。

なのでリザーブワインとして保管する物も2次発酵に行く前にキープします。

瓶内2次発酵を始める

瓶詰めすると決めた物は多くの場合収穫年の翌年にはほかのヴィンテージの物などを混ぜたうえで瓶詰めをして瓶内2次発酵をする工程にはいります。

この時のワインには炭酸ガスを作るための酵母の餌「糖分」がありませんし、ほぼ活動を停止した酵母しかいません。ですからまずワインのタンクに酵母の餌となる「糖分」と炭酸ガスを生成する「酵母」と「酵母の栄養素」などを混ぜた物を、添加します。

この作業をフランス語だと「ティラージュ」と言います。

ティラージュされたワインは再び糖分と酵母を得た状態なので、再発酵をするわけですが、発酵が始まる前にとっとと、瓶詰めして、王冠で蓋を閉めてしまいます。

そして、瓶の中で発酵が始まるのですが、王冠で打栓されていて、炭酸ガスの逃げ場がなくなってしまうので、ワインの中に炭酸が封じ込められるわけです。

先にも説明しましたが、この時に酵母君は一緒にアルコールも生成します!加えた糖分を全部食い尽くすとアルコール度数が1.2~1.3%ぐらい上がるので、ここも計算に入れつつ添加量は決めています。

だいたいその計算で添加すると瓶内圧力が5~6気圧ぐらいになるようです。

酵母の残骸を取り除く

瓶内2次発酵が終わったワインは、そのまましばらくほっときます。このほっておく期間がよくシャンパーニュなどでうたい文句に使われる「瓶内2次発酵 ○○ヶ月」の部分です。

この間にワイン内で起こっている事は、酵母の自己溶解と言う現象です。

酵母君は役割を終えると死んじゃいます。糖分もなく餌もないので死んでしまった酵母はやがて澱と呼ばれる残骸になるのですが、酵母君は生き物です。

一定期間が過ぎるとその細胞が崩壊を初めて、細胞内になる旨味成分なんかがワインに溶け出ていくわけですね。そしてこの自己溶解が半年ぐらいから始まって、最長では10年ほども続くそうです!瓶内2次発酵10年とかは意味がちゃんとあるのです。

ちなみにこの時は温度がセラーよりもさらに低い所に置いておきます。そうする事でゆっくり溶解が進むのと、メイラード反応があまり起きなくなるメリットもあります。

・澱をまず集める

その後はたまった澱を処理しなくてはいけません。そこで有名なあの瓶をさかさまにする工程、ルミアージュが登場します。

【初級編】スパークリングワインの作り方

こうやって、瓶の口を下にして、さらにゆっくり回転させながら瓶の口の方に澱を集めていきます。今も高級品では手作業でやっているところがちゃんとありますが、基本的には機械化は進んで、もうすこし素敵じゃない見た目がほとんどではあります。

【初級編】スパークリングワインの作り方

こっちが現実ですね。まとめて500本ぐらい、機械がゆーっくり角度を変えてくれます。

・瓶から澱を出す

澱が瓶の口のところにすべて集まったら、次は液体窒素に瓶の口を沈めて、先端のワインと共に凍らせてしまいます。

凍らせてしまえば澱も栓になるので。王冠を外して圧力を逃がしちゃえば、先端で固形物になっている部分は、その圧力で飛び出してくれるからですね。ぽーん!と。

この作業の事をフランス語で「デゴルジュマン」と言います。

デゴルジュマンで飛び出す時にはワイン自体も出てきちゃうので、目減りします。その分を補うためにリキュールを添加するのですが、このリキュールがたいてい「甘い」です。この時に入れる甘い糖分の要領で辛口などが決まります。

なぜなら、リキュール入れる前のワインは糖分が全部酵母に食われてなくなっている、極辛口だからですね。

この添加するリキュールを「リクール・デクスペディシオン」(Liquer d’espedtion)。日本語で「門出のリキュール」なんて言われるやつです。何を使うかはそのワイナリーによって違いますが、これがハウススタイルを作る味わいに結構な割合で関与しています。

この瓶から澱を抜いて、リキュール入れて、再び栓をする。まではワンセットで一気に行います。

途中の動画は手作業でデゴルジュマンしてますが、実際はほとんど機械化していて、一連の工程はわずか数秒の間に終わります。これでシャンパーニュ方式でのスパークリングワインは完成です。

トランスファー方式

次の解説はトランスファー方式です。

この解説はとっても簡単です。トランスファー方式は瓶内2次発酵までの工程は同じです。違うのは澱を取り除く工程で、シャンパーニュ方式では瓶の中で澱を集めて、澱を取り除く作業をしていたかと思いますが、トランスファーはその澱を取り除く工程をタンクで行います。

要するに、瓶の中からタンクに一回ワイン開けちゃうわけです。そのままドボドボとワインをタンクに入れたら、炭酸は逃げるわ、ワインは酸化するはで大変ですよね。

なので、最新のマシーンで、真空された加圧状態の環境の中で抜栓。そしてワインを集めます。加圧状態なので泡は立たないし、酸素にも触れません。で、このまま澱も一緒に集まるわけですが、澱は邪魔なので、圧力下のまま濾過しちゃいます。

濾過しちゃえば当然澱は取れるので、きれいな透明感あるスパークリングワインが完成しますので、お好みの量のリキュールを入れて(甘さ調整)瓶に入れて、栓をすれば完成です!

【初級編】スパークリングワインの作り方

こんな感じ。

タンク方式

フランス語だと「シャルマ」とも呼ばれる方式ですね。

これはシャンパーニュ方式、トランスファー方式に比べてさらに工程を簡略化する方式で、瓶内2次発酵は行わず、2次発酵もタンクの中で済ませちゃう方法です。

1次発酵が終わったら、澱引きして、糖分や酵母を添加。そうすると2次発酵が起こりますので、この2次発酵のガスが逃げないような耐圧力タンクで2次発酵をするわけです。

澱引きもそのまま濾過しちゃえばいいので、特に大きな手間をかけることなく、ボトルまで運んでくれます。

【初級編】スパークリングワインの作り方

安い以外の利点もちゃんとあります!!

この方式は最初からタンクで、その後もタンクです。瓶に移すなど行為がないので、液体の移動がスムーズです!スムーズに液体を運べると言う事は大きな利点として「酸素に触れなくて済む」。つまり酸化の予防が可能です。

酸化の予防をすると何がいいって、フレッシュなアロマは今までの2つの方式よりもはるかに残ります!

つまり目的が最初からフルーティーでフレッシュなスパークリングワインだったら、シャンパーニュ方式やトランスファー方式を使うよりも、断然上手くいきます!

フレッシュでフルーティーなイタリアの「プロセッコ」なんかは、シャンパーニュ方式などで作って高級感を出す必要もないので、この方式の方がずっと向いています!

ちなみにシャンパーニュ方式のように長い間、タンク内で熟成させて、酵母の自己溶解した旨味を乗せる事も可能です!二次発酵中にバトナージュ的な澱撹拌を行って促進する方法なんかもありますが、実際にはシャンパーニュ方式ほどの値段もつけられないので、やる人がほぼいません。

アンセストラル方式 と アスティ方式

【初級編】スパークリングワインの作り方

いままで見てきた3つの方式は瓶内かタンク内かの違いだけで、「2次発酵」と言う工程を踏んできました。

ですが、この2つの方式は2次発酵をしません

では、どうやって炭酸ガスをワインに入れるのか?と言う問題ですが、これは1次発酵の時に発生する炭酸ガスを使うんです。

アンセストラル方式とアスティ方式の違いを解説しましょう。

アンセストラル方式

田舎方式とも言われるこの方法は、タンクなどで1次発酵が終わりそうになった段階で瓶に詰めてしまいます!まだワイン内の糖分が軽く残った状態なので、酵母は瓶の中に入ったぐらいではそのまま発酵し続けてくれます。

この時に発生する炭酸ガスをそのまま瓶内に閉じ込めた方法が、アンセストラル方式です。よくペティアン(天然微発砲ワイン)なんかで使われる方式はこれです。

アスティ方式

こっちはタンク内である程度まで発酵させた後、タンクを密閉して、タンク内から炭酸ガスが逃げないようにします。するとタンク内に炭酸ガスが溶け込んだワインが出来上がります。

基本的にはイタリアのアスティで使うう方なので、その仕様にそって行くと、アルコール度数は低めの甘口スパークリングワインを目指すので、アルコール度数が7%ぐらいに達する時にガス圧が5~6気圧になるようなタイミングを計算して、開放していたタンクを密封するわけですね。

そして、既定の圧力に達したところでワインを冷やして発酵を止め、瓶詰め前に酵母は濾過して取り除いてしまいます!

炭酸ガス注入法

もうこれは解説するまでもありませんね。

白ワインに炭酸を直接注入するだけです。美味しくないワインでも炭酸にごまかされて口当たりよく、最初は楽しめるので、安ワイン専門の方式と言っても過言ではありません。

日本の居酒屋でビールサーバーみたいなのでスパークリングワインを注入してるのを見ますが、あれです。あれ。日本人はあれだと「生」みたいな錯覚をするので、もはや鴨です。

他にも安いスパークリングワインはかなりこの方法です。

炭酸のいいところは、美味しくないワインすらさわやかさでカバーしてくれるところです。飲める物には仕上がります。

まとめ

だいたい主だったスパークリングワインの作り方はこんなところです。

シャンパーニュ方式はもっと細かい説明を設けられるのですが、それは中級より上のレベルになるので別で解説します。

今回のポイントは

トランスファーは瓶内2次までは同じなので、結構旨いのあるよ!

タンクはフルーティーなワインの場合、むしろ向いている!

が、理解できるとワイン選びにもっと幅が広がると思います!

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