カリフォルニア州ノースコースト地区を解説【中級編】

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このページではカリフォルニア州のノースコーストにだけスポットライトを当てた解説をしています。ほぼ気象条件に付いて書いていますので、初心者向けよりも中級者向けぐらいの記事になっています。

初心者にもオススメな記事は「アメリカ全土の概要」として別にまとめてあるので、そちらをご覧ください。

ノースコースト地区はナパ・ヴァレーとソノマ・コーストに大きく2分される、地域です。解説も別々にしていきますので

・ノースコースト地区全体の概要
・ナパ・ヴァレー
・ソノマ・コースト
・おすすめ生産者

の順で解説をしていこうと思います。

この辺がなぜアメリカ最大の高級産地なのか、気候的な条件などを学習することでより理解が進むとと思いますよ。

ノースコースト地区概要

カリフォルニア州ノースコースト地区を解説【中級編】
出典:Fernando Beteta

ちょっと地図がナパに色付いてないので、わかり辛いかもですが、この辺りがノースコースト地区の全体図です。サンフランシスコ・サンパブロ湾の北側あるワイン生産エリア一帯の事がノースコースト地区です。

北緯38~39度ぐらいの間に位置する地域で、日本で言うと仙台から秋田ぐらいの緯度になります。暑いイメージなのに思ったより北にありますよね。

実際問題、この地域の南にあるサンパブロ湾対岸の都市、サンフランシスコは夏でも25℃ぐらいまでしか上がらない、結構涼しい地域なんです。こちらも日本人は勝手に暖かそうなイメージをしていますが、実はそうでもないんですね。

しかし、ナパ・ヴァレーは実際問題暑いんですよ。その辺の解説は後程するとして、この地域は圧倒的に太平洋を流れる「カリフォルニア海流」の影響が大きい地域です。

海流の影響がでかい

カリフォルニア海流は北から南に向けて流れる、非常に冷たい寒流なので、その上では大した水蒸気の蒸発も起きず、海から入ってくるのは大して湿気てない涼しいだけの風が入ってきます。その冷却効果を思いっきり受ける、海岸沿いは夏でも気温が上がらない構図になっています。

一方、その海からの冷たい風を避けるもの、つまり山ですね。山があると海風が当たらず、そういった地域は夏場は特に、太陽熱の影響をもろに受けるので、気温の上昇が著しい時があるのが、この辺りの激しい気候の仕組みです。

山が多い

海風の影響を防ぐのが山と言う解説をしましたが、この辺りの地形はどうなっているでしょうか?こんな時はGoogle先生の力をかりましょう!

ソノマにピンを打った衛星写真ですね。ソノマの右側に見える「NAPA」がナパ・ヴァレーの入り口で、その上にちょっと開けたところがあるのが、ナパ・ヴァレーです。こうやって衛星写真で見ると、ナパ・ヴァレー小さいですよね。

見ての通り、ソノマの西側は平たんそうだけど、北に行くと山だし、ナパ・ヴァレーの海岸線から見て手前にも山がありますよね。この山がと海流がこの産地の気候に与える影響がめちゃくちゃでかいのが特徴です。

夏は雨が降らない

そして基本的な気候は地中海性気候(Mediterranean Climate)に近く、冬場はまぁまぁ雨が降りますが、夏場は思いっきり乾燥して、雨もほぼ皆無と言っていい降らなさです。

近年は温暖化の影響か、より一層雨が降らず、山火事が毎年大規模に発生しており、実際問題、ワインの畑にも大きな影響が出始めているので、大きな問題になりつつあります。

雨が降らなすぎるぐらい降らない地域なので、基本的にワイン畑では灌漑をしなくてはいけません。今のところ灌漑用水すら確保出来ない!程の話は聞かないのはちゃんと川が流れているかでしょう。

まとめ

全体像をまとめると

・カリフォルニア海流(寒流)の影響
・山が風を防ぐのか?
・夏に雨がほぼ降らない

がこの地区の基本的な概要です。そこにナパ・ヴァレーは別の要素が加わったりするので、次の項でやりましょう。

ナパ・ヴァレー

カリフォルニア州ノースコースト地区を解説【中級編】
出典:Fernando Beteta

ナパ・ヴァレーは言わずと知れた、アメリカワイン産業の中心地です!とは言え、南北は50kmぐらいありますが、横幅はわずか5kmしかない小さい地域です。

しかしここは、西を「マヤカマス山脈」(Mayacamas)、東を「ヴァカ山脈」(Vaca)に囲まれて、南側だけ口をぽっかり空けた、準盆地みたいな地形になっています。

口が一部空いているのが大きなポイントで、そこだけ海風を防ぐ要素がありません。ですから、南側からは冷たい空気が入ってくるのです。実際、ソノマ側にもはみ出る特殊なAVA「ロス・カーネロス」では南側は寒くてカベルネ・ソーヴィニヨンが熟さず、むしろピノ・ノワールや、シャルドネでスパークリング用の酸がある物を作れるほどに冷涼です。

ナパに冷涼なイメージをお持ちの方は、ほぼいないと思いますが、南側のごく一部は寒いぐらいに冷涼なんです。

ですが、この南から入ってくる冷気はそんなに奥深くまでは攻めてきません!ロス・カーネロスの北部ぐらいからはカベルネがちゃんと成熟するほどに暖かくなります。

ほんのちょっとの差なのにここまで気温が変わるのは日本人にはイマイチイメージが付きませんがね。

ちなみにナパの公式HPですと夏の気温が

・ロス・カーネロス 28℃
・スタッグス・リープ 34-36℃

と書いてありますね。

霧が出るのが凄い大事

ナパ・ヴァレーでめちゃくちゃ大事な気象条件が「霧」です。これがソノマの方の暑い場所との最大の違いとも言っていいぐらい「霧」の影響があります。

霧はサンパブロ湾から入ってくるのですが、毎朝のように発生して、長い時は午前中は霧の中です。

こんな感じで朝から発生するわけですね。

この霧の影響は、午前中の気温上昇を大幅に遅らせてくれます。なんせ一日の寒暖差がでかいし、夏は暑すぎるぐらいなので少しでも気温の上昇が抑えれられてくれると、ブドウの成熟に対して、酸が落ちるのを防いでくれます!

この冷却効果がなければ、酸がない過熟したブドウしか取れない産地になってしまい、それではとても高級な複雑さのあるワイン産地にはなり得ませんでした。

いや、酸ないけどね。(ぼそっ)

標高も重要

上の霧動画でみなさん思ったはずです。「いや、映ってる畑霧の上じゃん!」ってね。そう、霧より上に築かれている畑も結構いっぱいあります。

でも大丈夫です!ここでは霧がなくても標高があります!その分周りよりか幾分気温が一日中低いので、トータルの熱量としては、霧がかからなくて大きな違いは出ていないそうですよ。

北に行くほど暑い

ナパ・ヴァレーは何度もお伝えした通り、南側から下涼しい風は入ってきません。ですから北に行くほど顕著に暑くなってきます。

例えばナパでも最も著名なワイナリーが沢山ある地帯

・スタッグス・リープ・ディストリクト(Stags Leap District)
・ヨンヌヴィル(Yountville)
・オークヴィル(Oakville)
・ラザフォード(Rutherford)

あたりでも、最も北にある「ラザフォード」の気温が一番高くなります。

そしてさらに北に進んだ場所、

・セント・ヘレナ(Saint Helena)
・カリストガ(Calistoga)

辺りになると、さらに日中の最高気温が2℃ほど上がるようです。なので、こちらの地区の方がより濃厚なフルボディタイプのワインが増えてきます。また、この辺はチョークヒルと言う山んとこに、小さい風の通り道があるらしく、そこから午後に涼しい風が入ってくるから、夕方は気温が下がるんだぞー!って自慢気に書いてあるのを見ます。ほんとかな?!だって酸ないじゃん(ぼそっ)

畑の方向も重要

ナパ・ヴァレーは東西に山脈に挟まれた地形で、その斜面に畑が築かれていることが多いわけです。そうすると

・西側の斜面は、太陽に向かって東向き
・東側の斜面は、太陽に向かって西向き

になるわけです。つまり東側斜面は北半球なので夕方の西日に当たるわけですね。西日って・・・暑いですよね。

そう西日がよくあたる地域が

・ハウエル・マウンテン(Howell Mountain)
・アトラス・ピーク(Atlas Peak)

なんて呼ばれるところです。ここは夕方が暑いので、東向き斜面勢に比べると明らかにリッチな立地と言う事になります(キリッ)

より重厚なフルボディでアルコール度数も上がる物が作れるそうですよ。ふーん。

育ててる品種

細かい気象条件はなんとなくわかったところで、最後に主要品種をさらっと。

赤ワイン

カベルネ・ソーヴィニヨン

ナパと言えばやっぱりこれですね!世界でも最も重厚なカベルネを作っていると言ってもまったく過言ではございません。世界がエレガント化する流れの中、相も変わらず重厚な物が作られ続けている、場所ですが、最近ついにその「重厚」から離れようとする動きも出てきているそうですよ。

ジンファンデル

アメリカのナパが固有種ではないですが、それぐらいの勢いで、ジンファンデルと言えばナパです。カベルネよりも酸がなくてより重厚だと思います。

飲めない人には飲めないレベルで濃いです。

メルロー

カベルネあるところにメルローあり!ですね。

世界のそれと同じようにカベルネよりか軽やかな味わいです。果実にも多少「赤果実」が混ざって黒一辺倒ではなくなります。和らげるブレンドをする為にも作っておきたい品種ですね。

白ワイン

シャルドネ

白はソーヴィニヨン・ブランもあるにはありますが、事実上シャルドネの一択でしょう。昔はよく熟して、新樽使いまくって、「樽ドネ」と呼ばれる物ばかりを作っていた産地ですが、こちらはカベルネよりいち早く、エレガント化の波が来ています!

美味しい物が結構あるのでが、なんせ高いです。

ソノマ・コースト

カリフォルニア州ノースコースト地区を解説【中級編】

もう1回最初の地図を見ながら、ソノマ・コーストを見ていきましょう。

こっちの方がナパよりも大きく、開けた場所もあるので、比較的低価格のワインも生産されています。ナパにはほぼ低価格がないですからね。

この地図よりも上に置いといたgoogleの衛星写真がよくわかると思います。結構、ソノマの西側は開けていますよね。やたら開けた場所は平坦ですからね、開けすぎてて、海風がもろですから寒い!って言うのも大いにありますが、大量栽培もしやすいので、「ソノマ・コースト」の大量生産系の産地になります。地図で言うと、紫のとこですね。

すこし北側のロシアン・リヴァー・ヴァレーぐらいから「ヴァレー」(渓谷)って付くわけですからね。山が増えて地形が複雑化してきます。

やっぱり南が寒い

ソノマ・コーストの高級産地は南から並べると

・ロシアン・リヴァー・ヴァレー(Russian River Vallye)
・ドライ・クリーク・ヴァレー(Dry Creek Valley)
・アレキサンダー・ヴァレー()

と並んでいきます。ここもナパっぽくて、南側から北側に向かって山が閉じていきます。って事は必然的にまた、南の開いた口から涼しい風が入ってきて、北の方までは届き切らないパターンが採用されているわけです。

ナパと違って、より海に近いのと、とっても開けてるところから始まっているので、特にロシアン・リヴァー・ヴァレーの南部では冷涼な気候になります。

上質なピノ・ノワールやシャルドネの産地としても有名で、さらにはスパークリングワインにも定評があります!

そんなロシアン・リヴァー・ヴァレーも北側に行くと早くも温暖になってきます。ロシアン・リヴァー・ヴァレーの北で温暖なんですからその北側のドライ・クリーク・ヴァレーは当然もっと温暖です!

ここら辺に来ると、「ピノ」ではなく「ジンファンデル」「カベルネ」が増えます。なぜか白ワインはソーヴィニヨン・ブランの生産が増えますが、この辺のはかなりトロピカルテイストなソーヴィニヨン・ブランです。なぜ作るのか?アメリカ人の舌に聞いてみたいです。

そして、さらに山間を抜けるとアレキサンダー・ヴァレーがあります。ここは山間抜けた後ですからね。海風なんてほぼ来ません!温暖です!!

品種的にもカベルネが評価高い地域で、ソノマ全体のなかでもかなりのフルボディです。

ポツンとアンダーソン

上の地図にもぽつんと離れてるので載せてもらえていませんが、北側にポツンと離れて「アンダーソン・ヴァレー」(Anderson Valley)と言う産地があります。

ソノマの結構北で、行政上はメンドシーノ群に属する場所です。北側である事と、渓谷で風の通り道になっていることから海風がよく入ってくる効果もあり、かなりの冷涼産地で、作られている品種もリースリングやゲヴェルツトラミネールと言ったアルザス系品種が人気の地域です。

ちなみにその他のメンドシーノ群は「カベルネ」や「ジンファンデル」などを作っていますが、あまりお目にはかからないですね。

まとめとオススメ生産者

カリフォルニア州ノースコースト地区を解説【中級編】

アメリカの特にカリフォルニアは超温かくて、濃いワインばっかり作ってんでしょ?ってイメージはあると思いますが、意外と涼しかったりする事が地形の事などを学ぶとわかりましたね!

時代の流れもあるので、さすがにアメリカもエレガント化が始まりましたが、まだまだ濃いワインも多いので、日本人のアメリカ人には人気です(笑)

世界的にはあまり売れておらず、トランプ大統領が「アメリカのワインも輸入しないと関税掛けるぞ!」とEUを脅しても「いやそもそも味わい的に欲しくないんだよね」って議論が巻き起こっちゃうぐらいですからね。

ですが、濃いワインファンはいますしね。僕自身あまりアメリカワインは飲まないですが、比較的最近飲んだ美味しい所をいくつか紹介いたします。

キスラー (Kistler)

言わずと知れた有名どこですね。「カリフォルニアのシャルドネ王」の異名を持つ超有名生産者です。

一昔前はいわゆる「樽ドネ」を作っていて、僕も最初に飲んだ10年ぐらい前は「なんじゃこれりゃ?樽めっちゃ凄い!旨い!」って思ってましたが、その後「樽ドネ」って一回離れるんですよね。みんな。最初は旨いんですよ。

で、久々に樽ドネ飲みたくなった時に、割と最近のビンテージ飲んだらびっくり!樽は聞いてるけど、「樽ドネ」ではなくなって、酸もきれいに調和したスタイルになってるじゃないですか!!

うーん、この辺がさすが「王」ですね。今後もカリフォルニアのシャルドネの中心でしょう。

場所はソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーにありますよ!

ハートフォード・ファミリー(Hartford Family)

僕のお気に入り生産者ですね。またまたシャルドネでごめんなさい。

ソノマのこれまたロシアン・リヴァー・ヴァレーにあるワイナリーで、アメリカのワインにしてはずいぶんとエレガントなスタイルのワインを作っています!

安くても7000円ぐらいはするので、気軽に買えるもんでもないですが、その繊細なアメリカらしからぬスタイルは、同じ価格のブルゴーニュを買うよりはるかに価値が高い!と確信できる生産者ですよ。

ミネラルも酸もばっちりあって、樽は調和していて、フィネスみたいな物も感じます。落ち着いて食事と一緒に楽しんで飲んでいられます。好きです。

ナパ・セラーズ(Napa Cellars)

アメリカ概要でもオススメしてますけどね。個人的にはコスパいいな。って思っている所がオススメしやすいので、ここでもご紹介。名前の通りナパの生産者ですね。

ナパって超高級ワイナリーが多いので、手ごろで美味しい所ってあんまり追求しないので、そういう意味でも、ナパの入り口には向いてます!

僕自身もたまに飲みたくなると買いますよ。赤は買ったことないんですけど、シャルドネの様子からたぶんがっつり濃いですよ!なんにせよナパらしさ感じられて、お手頃価格なのはうれしいです。

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